首相就任から解散まで戦後最短となった今回の衆院選。自民党の「政治とカネ」の問題だけでなく、旧統一教会との関係も争点の一つだ。有権者はどのような点を見て判断すべきか。ジャーナリスト・鈴木エイトさんに聞いた。AERA 2024年10月28日号より。
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自民党が旧統一教会との関係を断絶できるか。総裁選に出馬した中では、この問題解決に向け前向きな姿勢を見せていた石破茂氏と林芳正氏が、それぞれ首相、官房長官と、官邸のツートップに就いたという点は評価していました。ただ、石破氏は首相就任後の衆議院代表質問で、従来の「旧統一教会との組織的関係はない」との党の姿勢を崩しませんでした。この“ぶれ”を見ていると、万が一対応するにしても優先順位はかなり後ろなのだろうと思います。
そこにきて、法相として入閣した牧原秀樹氏が旧統一教会関連の集会に多数出席していたことを認めました。2年前の自民党の「点検」では接点が確認されておらず、新たに明らかになった形です。今後、追及が続くようであれば、石破政権内の対応が問われるという話になりかねません。
2022年に安倍晋三元首相の銃撃事件が起こり、そこから2年たっても旧統一教会問題が争点の一つになっているということは、つまり解決できていなかったということです。自民党が議員による自己申告制の緩い点検で済ましてしまったがゆえに、関係を一方的に切られる形となった教団側の恨みも買い、次々とさまざまにリークされてしまっています。しっかりと調査をしなかったツケが回ってきているのが今です。2年前から「第三者委員会を作って外部調査するべき」と正論を主張していた村上誠一郎氏が石破政権で閣内(総務相)に入りました。これは強みになるはずで、自民党が本当に信頼を取り戻したいのであれば、石破首相はもっと強く出るべきだし、議員票が重要だった総裁選でその意思を示すのは難しかったにせよ、総裁になった以上はそれができる環境にあるはずです。