にぎり寿司は「松」で(写真はイメージ/gettyimages)
この記事の写真をすべて見る

 長い人生で染みついたクセや、固定したものの考え方も、その気になりさえすれば気持ちの楽な方向に改められる。例えば他人と自分との比較。エッセイスト中山庸子氏はこれをやめてしまえば、無理のないナチュラルなシニアになれるという。著書「70歳を越えたらやめたい100のこと」(アスコム)から、やめたい心の持ちようの一例を抜粋する。

【写真】一度は味わってみたいこんなにぎり寿司 英国在住女性シェフ渾身の一品

***

◆人と比べるクセ  心のダンシャリで清々しくナチュラルに過ごそう

 まずお話ししたいのは、70年の間に知らずしらずに出来上がってしまった考え方のクセについて、です。

 トップは、つい人と比べてしまう。

 自分以外に誰か人間がいたら、ごく自然に行っていること。

 それが複数の人間が相手になり、色々な場面や立場によって様々な種類の集団ができ、そこで「比較大会」が繰り広げられると想像すると、クラッとします。

 スポーツやゲームみたいに、シンプルに勝ち負けがつくものなら、それはそれで楽しいし上達する励みになるけれど、一番タチが悪く、後味も良くないのがマウントの取り合い。 

 どこそこ出身、何階に住んでる、ナニを持っている……その人の価値と何の関係があります? と、確かに正論ですが、こんな意見はきれいごとなんでしょうね。

 私も「あの人にだけは負けたくない」とか「これ、うらやましがられるんじゃない?」から、なかなか抜け出せずにいた時期もありました。

 オーバー70になれば、平然と比べず生きられるほどこの手の話は簡単じゃない。まずは、比較してしまう考え方のクセがついていることを認識する。折々に「あっ、また比べてるよ」と、気づく。

 比べてすごく楽しいのなら、それでもいいけれど、そうじゃなかったら「今日は比べるのやめる」をしてみましょう。

 これ、心のダンシャリじゃないかと思います。

 やめたら、清々しくなれる気がします。

次のページ
間違いは恥とせず、笑いに