佐賀城本丸歴史館で寸劇を鑑賞後、島義勇を演じた谷口文章さん(中央)や、佐野常民を演じた鷹巣将弥さん(右)らに、ユーモアを織り交ぜてお声がけをする愛子さま=2024年10月11日、佐賀市

「島義勇さま」と呼びかけた愛子さま

 愛子さまは、佐賀に縁のある賢人について、事前によく勉強されていたという。

 2023年11月、前年に佐野常民が生誕200年を迎えたことを記念して、佐賀県赤十字血液センターの前で銅像のお披露目式が執り行われた。そのときに「八賢人おもてなし隊」も寸劇を披露しており、愛子さまは副島種臣を演じた俳優に、

「佐野常民氏の銅像のお披露目式のときも寸劇を……」

 と話しかけた。

 日赤に勤務している愛子さまだからこそ耳にする機会があったのかもしれないが、愛子さまが佐賀について知ろうとしている思いが伝わってきたという。
 

 そして、この懇談の場は、愛子さまからのユーモアをまじえてのやり取りで、穏やかなものになった。

 愛子さまは、「八賢人おもてなし隊」代表の谷口さんに向かって、

「島義勇(しま・よしたけ)さま……。札幌を見つけられた、高いところから……」

 と、あえて寸劇での役名で、質問を投げかけた。

 谷口さんが演じたのは、「北海道開拓の父」と称される島義勇。愛子さまの質問は、島義勇が円山の丘という高い場所から札幌の原野を眺めたとされるエピソードに触れたものだった。愛子さまはニコニコと微笑みながら、さらに、

「そのときは、どんな……」

 と、札幌を開拓した当時の心境を「島義勇」に質問。

 愛子さまを前に緊張していた谷口さんだったが、愛子さまの意図を察して、「やったあ、という気持ちでした」と役になり切って答えた。

 谷口さんは、愛子さまと楽しくやり取りができたことが、うれしかったという。
 

愛子さまは、プリンセスそのもの

 愛子さまはお声がけの最後に、谷口さんに、こうたずねた。

「練習は、大変で?」

 俳優だけの収入で生活できる人は、そう多くはない。ほかの仕事をしながら稽古を積む仲間たちについて、こう説明した。

「稽古は、夜10時半からです。賢人が蘇ってくるのは仕事が終わってからなので」

 冗談めかした返答に、愛子さまは、ふふっと優しくほほ笑んだ。その品のよい仕草は、まさにプリンセスそのものだったという。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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