2007年、中日が落合監督のもと53年ぶりに日本一になったとき井上監督は選手会長だった

「一緒の矛先を向けない選手はいらない」

 井上監督は11日に行われた監督就任会見で、選手たちに向けてこう語った。

「おれが好きな選手になれ。チャンスで三振しても、ぽろぽろエラーしても、『もう一回お願いします。もっと上を目指したいです』という気持ちがある選手が好きです」

 強権的にも聞こえるが、そうではないだろう。井上監督は2軍監督時代から、全力疾走を怠ったり、サインプレーやカバーリングでやるべきことをやらなかったりする選手には、厳しく指導していた。その一方で、個々の選手が自分の色を出すことは尊重した。自身も現役時代に個性的なピンクのリストバンドを愛用し、「ピンキー」の愛称でファンに親しまれていた。

 また、会見で「選手たちに守ってもらいたいルールがあるか」と聞かれると、次のように即答した。

「和を乱すな。僕が言ったことに対して徹底してくれ。できる、できないは別にしても、その意識を持つことを自覚してほしい。みんなと一緒の矛先を向けない選手はいらないよ、ということになってしまう」

 立浪前監督の下で戦ったチームは、全員が同じ方向を向いているとは言えなかった。本拠地・バンテリンドームで行われた今季最終戦でDeNAに敗れて3年連続最下位が決まったが、試合後に白い歯を見せている選手がいた。中日の関係者は複雑な表情を浮かべる。

「大半の選手は悔しそうな表情でしたし、緊張感がなかったわけではない。一瞬見せた表情だけだったかもしれないけど、笑ったように見られている時点で寂しいですよね。昔の中日なら考えられなかった。戦力的に他球団に大きく見劣りするわけではないと思うんです。立浪前監督の下で何人もの若手が育ってチームの核になっている。それは大きな功績であることは間違いない。でも勝つ集団になるためには、まだまだ足りない。井上監督の下で意識改革が必要だと思います」

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他球団首脳が語る井上監督像は