プロ野球もポストシーズンに入り、クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージと日本シリーズを残すのみとなった。この時期に気になるのがベテラン選手の去就だ。既に引退を発表した選手がいる一方で、来季も現役続行を決断した選手も少なくない。特に1年1年が勝負と見られるのが40歳前後の選手だが、そんな選手の今年のプレーぶりにスポットライトを当ててみたいと思う(年齢は2024年の満年齢)。
まず先発投手で最も目立ったのが岸孝之(楽天・40歳)だ。勝敗こそ6勝11敗と負け越したものの、3年ぶりに規定投球回数をクリアし、防御率も2.83と安定した数字を残したのだ。ストレートは140キロ台前半と若い頃のようなスピードはなくなったが、ブレーキのあるチェンジアップと時折見せる大きなカーブで上手く打者の狙いをそらして、打たせてとるピッチングにモデルチェンジしたことが奏功したように見える。投手が不利と言われる夏場以降に成績を伸ばしているのも見事という他ない。来年もローテーションの一角として期待できそうだ。
リリーフ投手で見事な復活を見せたのが宮西尚生(日本ハム・39歳)だ。入団から14年連続で50試合以上に登板した鉄腕も2022年には24試合の登板に終わり、防御率も5点台と大幅に悪化。年齢と勤続疲労を考えると、そのままずるずると成績を下げそうなものだが、昨年から徐々に状態を上げ、今年も30試合の登板ながら19ホールド、防御率2.10という成績を残して見せた。鋭く腕を振って投げ込むスライダーとチェンジアップの対になる変化球はまだまだ健在で、右打者もしっかり抑えられるというのが大きい。CSのファーストステージでも9回を任せられてセーブも記録している。通算412ホールドは2位以下を大きく引き離すNPB記録だが(2位は山口鉄也の273ホールド)、まだまだ伸ばし続けてくれることを期待したい。
野手ではともにロッテの荻野貴司(39歳)と角中勝也(37歳)の2人が存在感を示した。荻野はプロ入り15年目で初めて盗塁0に終わったものの、80試合に出場して55安打を放ち、打率.279をマーク。途中出場した試合で活躍するケースも多く、外野のバックアップとしてまだまだ貴重な戦力となっている。一方の角中も84試合に出場して53安打、打率.280を記録。クリーンアップとしても45試合に先発し、左投手を相手にも高い打率をマークするなど、健在ぶりをアピールした。ロッテの外野手は期待の若手が伸び悩んでいることもあるが、彼らのハードルが高いということもまた事実だろう。