成績的には目立たなかったものの、まだ力があるところを見せたのが球界最年長の石川雅規(ヤクルト・44歳)と、最後の松坂世代である和田毅(ソフトバンク・43歳)のサウスポー2人だ。石川は6月2日の楽天戦で5回雨天コールドゲームながら完封勝利を記録。23年連続勝利はプロ野球タイ記録で、新人からとなると史上初の快挙である。勝利はこの1勝だけだったが、8試合に先発してそのうち6試合で5回以上を投げ切っており、味方の援護に恵まれない試合も目立った。チームの投手陣は苦しい状況だけに、来年もローテーションの谷間を埋める存在として期待される。
一方の和田は昨年オフに山川穂高の人的補償の問題で騒動となり、その影響が心配されたものの、先発として2勝をマーク。夏場以降はリリーフに回り、3試合連続でホールドも記録した。ストレートはまだまだ140キロ台中盤をマークすることも多く、好調時のボールは一軍の先発として十分なレベルにある。リリーフに配置転換となっても、しっかりと力を発揮できるのもさすがだ。左の先発はまだまだ不足しているだけに、来年も先発ローテーション争いに加わる可能性は十分あるだろう。
その他では西武の同級生コンビの中村剛也(41歳)、栗山巧(41歳)、昨年名球会入りの条件となる日米通算250セーブをマークした平野佳寿(オリックス・40歳)などもまだまだ元気なプレーを見せている。年々レベルが上がり、ベテラン選手が活躍することが難しくなっているプロ野球界だが、その中で来年も彼らがその高い技術で輝きを見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。