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超大口径のAPS-C 機用中望遠ズーム

 全焦点距離で開放F1.8通しを実現したAPS-Cサイズのセンサー機用の大口径ズームの第2弾である。先行する18~35mmF1.8同様に光学性能を重視して開発されたArtラインだ。35mm判換算で75~150mm相当の画角というポートレート撮影で好まれる焦点距離をカバーでき、浅い被写界深度でボケ味を生かせることが最大の武器。APS-C機用の望遠ズームは開放F値がF3.5やF4など暗いものばかりで大口径ズームが欲しければ35mm判フルサイズ用を選ぶしか道はなく、ほぼ70~200mmF2.8の独壇場。聖域かのように手付かずだったこのクラスを活性化する起爆剤になるのか興味深い。
 ズシリと重いが、85mm/105mm/135mm相当の定番の画角が生み出す世界観と開放F1.8大口径ボケ味を、レンズ交換なく瞬時に切り替えられるのは実にありがたい。もちろんAFは超音波モーター駆動でフルタイムMFでのピント微調整も可能だ。実売で13万円を切る価格も悩ましく、APS-C機+フルサイズ用70~200mmF2.8という組み合わせに満足できている人は、このレンズは触らないままでいたほうがかえって幸せかもしれない。

開放F1.8を積極的に使いたいが、紙一重のピントになるのでAFフレームはピンポイントで今まで以上にシビアに当てるのが望ましい。開放でも十分実用だが、さらにシャープさを増すf2.8あたりが特においしく、絞ってもf4くらいまでにしないと、このレンズの持ち味がもったいなく感じる●100mm時・キヤノンEOS 7D MarkⅡ・絞り優先AE(絞りf1.8・320分の1秒)・ISO100・AWB・RAW
開放F1.8を積極的に使いたいが、紙一重のピントになるのでAFフレームはピンポイントで今まで以上にシビアに当てるのが望ましい。開放でも十分実用だが、さらにシャープさを増すf2.8あたりが特においしく、絞ってもf4くらいまでにしないと、このレンズの持ち味がもったいなく感じる●100mm時・キヤノンEOS 7D MarkⅡ・絞り優先AE(絞りf1.8・320分の1秒)・ISO100・AWB・RAW

デザイン
シグマの進める三つのプロダクトラインに準じたデザイン。花形フードを装着しても鏡筒より一回り太くなる程度でスッキリしたフォルムを損なわない

使用感・操作感
ズーム操作は少々重いが鏡筒が伸びず、重心移動も少なくバランスはよい。手ブレ補正機構は非搭載。小ぶりな三脚座は着脱不可だが、90度ごとにクリックストップがある

描写性
開放からシャープでコントラストも高い。あえてフードをはずして逆光ぎみの撮影も試したが、大きな画質の破綻はなく有害光対策もしっかり取られているようだ

◆宇佐見 健

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●焦点距離・F値:50~100mm・F1.8●レンズ構成:15群21枚(FLDガラス3枚、SLDガラス4枚)●最短撮影距離:95cm●最大撮影倍率(35mm判換算):1:6.7●画角:31.7~16.2°●フィルター径:φ82mm●マウント:シグマSA用、ニコンF用、キヤノンEF用●大きさ・重さ:φ93.5×170.7mm・1490g(シグマ用)●価格:税別15万5000円(12万9600円)