土偶は女性だけ?埴輪は男性も

遮光器土偶/高さ34.2センチ。青森県つがる市木造亀ヶ岡で出土。年代は縄文時代晩期(前1000~前400年)。重文(東京国立博物館蔵)

 ふっくらしたお腹や乳房などの造形から、土偶は基本的に女性を表したものだとされている。これは、そもそも土偶が子孫繁栄の儀式に使われたものだからだと考えられる。「土偶 縄文のビーナス」は妊娠した女性をかたどっているとされるし、「遮光器土偶」はサングラスのようなものを付けて髪を束ねていると考えられている。

 埴輪のほうは、髪型から男女の別がわかるほか、動物や家や船など人物以外にも様々な物をかたどっていて、バリエーションが豊富だ。

土偶は呪具、埴輪は装飾品

 土偶は、魔除けや豊作、子孫繁栄を願ってつくられ、おもに祭祀や儀式で使われていたようだ。意図的に壊されたと思われるものも多く見つかっている。諸説あるが、縄文時代の人々はあえて土偶を壊すことで、願いを込めていたのかもしれない。

 これに対して埴輪は、古墳を守る、または古墳の装飾品としてつくられた。弥生時代後期、権力者の墓として墳墓がつくられ始め、そのお供え物を入れるためにつくられた土器や器台(土器を置くための背の高い台)が埴輪のルーツだとされている。

 円筒埴輪は古墳の墳丘や堤の上に並べて、古墳の魔除けを行う役割を持った。4世紀に入ると、家や人物など、なんらかの形を表した「形象埴輪」が登場。形象埴輪は形によって役割があり、家形は死者の魂が宿る場所、人物形は生前の死者の姿、または古墳をにぎやかす装飾だと考えられている。

(構成 生活・文化編集部 塩澤 巧)

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