東京都台東区の東京国立博物館で、特別展「はにわ」が始まった。群馬県太田市で出土した、埴輪(はにわ)の最高峰とされる国宝「埴輪 挂甲(けいこう)の武人」の国宝指定50周年を記念したものだ。国宝や重要文化財を含むえりすぐりの埴輪が一堂に会する。
そもそも、埴輪とは一体何なのか。一言でいうと「古墳に並べられた焼き物」。3〜6世紀頃、日本各地に住む権力者たちは巨大な墳墓である「古墳」をつくり、権力者が眠る神聖な領域を示すために、古墳の墳丘や堤の上に大量の円筒埴輪を並べた。
時代が下ると、被葬者の魂が宿る「家形埴輪」や、被葬者の生前の姿を表した「人物埴輪」など、さまざまな造形の埴輪も現れる。その姿から、古墳時代の人々がどんな暮らしをしていたのかがわかるし、時代によって造形が異なることで、古墳から発見された埴輪を調べれば、その古墳がいつできたのか、どんな権力者がいたのかがわかることもある。
このように埴輪には、日本という国がどのように発展していったかを考える上でのヒントが隠されているのだが、同様に遺跡から発掘される土偶に比べて地味な印象で、混同されることも少なくない。
東京国立博物館では約半世紀ぶりに開催されるという埴輪展で、埴輪を埴輪として楽しむために、『楽しく学べる はにわ図鑑』(かみゆ歴史編集部編)を引用する形で、「土偶との違い」を知っておきたい。
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いずれも遺跡から発掘される人形として混同されがちな埴輪と土偶。実は、まったく別のものだ。3~6世紀にかけての古墳時代につくられた埴輪に対して、土偶がつくられたのは約1万6000年前から紀元前4世紀ころまでの縄文時代。そもそもつくられた時代からしてまったく違う。他に大きく3点、違うところがある。深掘りしていきたい。
土偶は小さく、埴輪は大きい
パッと見でわかる埴輪と土偶の違いは、大きさだ。埴輪は土偶より圧倒的に大きい。土偶は大体が高さ2〜40センチほどで、最大級とされる「土偶 縄文の女神」でも45センチ。一方、埴輪には1メートル以上あるものも多く、最大の埴輪は2メートル以上の高さがある。特別展「はにわ」開催のきっかけとなった国宝「埴輪 挂甲の武人」も、高さが130.4センチもある大きなものだ。