雅子さまが学術談義を楽しんだのは、有明海の干潟から採取した酵母に改良を重ねて誕生した日本酒「NOGOMI ARATA」。馬場酒造場の9代目、馬場嵩一朗さんが大学院在学中に自身で開発した酵母で醸した=馬場酒造場提供

雅子さまが興味を示した珍しい「酵母」

 さらに両陛下たちは、酒づくりの技術的な話でも盛り上がった。

 話題になったのが、有明海の干潟で見つかった酵母でつくった日本酒。雅子さまは、

「海から酵母がとれるのですか?」

「どのような味に?」

 と、積極的に質問をしていたという。

 2022年に鹿島産の山田錦を使った日本酒として誕生した「NOGOMI ARATA」は、有明海で採取された酵母でつくられたものだ。

 手掛けたのは、馬場酒造場の9代目である馬場嵩一朗さん(30)。馬場さんは、佐賀大学の農学部で微生物学を研究。県内の自然から採取した酵母で日本酒を造る研究をスタートした。

 酵母はあらゆる場所に生息しており、日本酒の味を左右する。土壌やミカン、イチゴの花など、さまざまな場所で採取してまわった。有明海の干潟から採取した酵母と出会い、大学院でも理想とする味が出せるような酵母に改良する研究を続けた。長年の研究の集大成が「NOGOMI ARATA」だったという。

「有明海とひと口に言っても広い。地元である鹿島地域の干潟から採取した酵母で、個性をもった日本酒を造ることができて嬉しかった」

と、馬場さんは振り返る。

 有明海の酵母は、さわやかな酸味につながるリンゴ酸をたくさん生み出し、「NOGOMI ARATA」は白ワインのように果実味のあるジューシーな日本酒として、外国人からの人気も高いのだという。
 

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