2016年、軍事演習で発射されたイスカンデル(写真:Russian Defence Ministry Press Office/TASS/アフロ)
2016年、軍事演習で発射されたイスカンデル(写真:Russian Defence Ministry Press Office/TASS/アフロ)
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 3月中旬、ICCにより逮捕状が出されたプーチン大統領。国連安保理常任理事国の大統領が容疑者となるのは、前代未聞だ。政権にどんな影響があるのか。AERA 2023年4月17日号の記事を紹介する。

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 今年の年明け早々、ロシア軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長が対ウクライナ軍事作戦の総司令官に任命された。プーチン氏肝いりの人事だったことに疑いはない。軍の総力を挙げて作戦に取り組む姿勢の表れだ。

 ウクライナ側の分析によると、プーチン氏は、3月中にウクライナ東部ドネツク州の全域を占領するよう命じたという。

 しかし実際には、何も起きないまま3月が終わってしまった。ロシア軍はドネツク州を制圧するどころか、年明け以降、ほとんど前進できていない。ロシア側がドネツク州攻略の足がかりと位置づけていた要衝のバフムートも、この原稿を執筆している4月上旬時点で、ウクライナ側が死守している。

 ロシア側は、ウクライナに欧米が供与する戦車が届き、本格的な反転攻勢が始まるまでにできるだけ占領地を広げておきたいと考えていたはずだが、当てが外れた。

 今後、ウクライナの反転攻勢がいつ、どの地域で始まるのかが、当面の戦況を左右する大きな焦点だ。

■国際的な行動に制約

 例えば、南部のザポリージャ州でウクライナ側が領土を大きく奪還し、アゾフ海に到達するようなことがあれば、クリミア半島も脅かされることになりかねない。プーチン政権が大きな危機に直面するのは必至だ。

 もうひとつ、プーチン氏にとって悪いニュースが3月17日に飛び込んできた。戦争犯罪などの重大事件に関与した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)が、プーチン氏に逮捕状を出したと発表したのだ。

 ウクライナのロシア軍占領地から、多数の子どもたちを不法に連れ去ったという容疑だ。ウクライナ側は、少なくとも1万6千人が連れ去られたと主張している。

 こうした子どもたちは、ロシアで養子縁組させられてロシア国籍を付与されたり、ロシアによる「愛国教育」を受けさせられたりしている。つまり、ウクライナの子どもをロシア人に造り替えるというおぞましい意図が、連れ去りの背景にあるのだ。

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