内閣発足早々、危機的状況を迎える石破首相
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 発足早々、石破政権が揺らいでいる。

【写真】石破首相はこの人が要職にいなかったから思い切った手を打てた?

 石破茂首相は、自民党の総裁選を戦っているときには、
「国会論戦をやってから解散総選挙」
 と就任直後の衆院解散はないとしていた。

 だが、首班指名される前に、10月9日に解散し、27日に投開票とする方針を公表。10月1日に石破内閣は発足したが、首相就任の8日後に解散、26日後の衆院選はいずれも戦後最短となる。

 また、総裁選のときには裏金議員を公認しないことも示唆していたのに、総裁就任後、全員公認の方針が報道された。

 いずれも総裁選で語っていたことと正反対で、野党から「変節」「ぶれぶれ」などと批判を浴びた。

 そのためだろう。一般的に首相就任時の内閣支持率は「ご祝儀」もあって高めに出るものだが、石破政権発足直後に行われた各メディアの世論調査で、内閣支持率は40%台後半から50%台前半といきなり低空飛行となった。

 危機感を覚えた石破首相は6日、裏金議員「原則公認」から一変し、「非公認」とする方針を公表した。

 現職の衆院議員で非公認が確定したのは、党員資格停止の処分中の西村康稔氏、下村博文氏、高木毅氏に加えて、党の役職停止処分中の萩生田光一氏、平沢勝栄氏、三ツ林裕巳氏の6人。ほかにもまだ地元からの支持の有無などで、増える可能性がある。

 また、政治金パーティーをめぐる不記載があった議員は比例名簿に登載しない、つまり「比例復活」という“保険”をなくす、という方針も発表した。この対象は40人以上にのぼる。

 自民党の閣僚経験者がこう話す。

「石破首相は、党内の反発も強いため、当初は裏金議員も原則公認でいこうとしていた。しかし、10月初めに党で行った小選挙区対象の情勢調査の数字が悪すぎた。いま衆院選をしたら、連立与党の公明党と合わせて過半数に達するかどうかギリギリだったそうです。とりわけ首都圏をはじめ選挙区の多い都市部では野党候補と競り合う数字が出ていた。総裁選と同様、衆院の解散・総選挙でも、最大の焦点は政治とカネになる。石破首相は総裁選で『非公認』の可能性を語り、裏金に厳しい姿勢が勝利に結びついたところもあっただけに、政権の先行きが危ないと、思い切った手に打って出たのでしょう」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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