石田ひかり
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「海のはじまり」(フジテレビ系)や「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)など、子育てや家庭と向き合うテーマの多かったこの夏の連続ドラマ。中でも高校生の妊娠をテーマにした「あの子の子ども」(フジテレビ系)は、派手さはないながら大人世代にも刺さる良作だった。同作で目を引いたのが、夫の海外単身赴任中に家庭の一切を預かる専業主婦を演じた、女優の石田ひかり(52)だ。若い世代の視聴者には、「石田ゆり子の妹」といえば通りがいいだろうか。

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 石田は、高校2年で妊娠した娘に対して、相手の男子生徒も含めて子どもたちの意思を尊重して応援するという立場を取る母役を演じた。

「中絶すべきだと考える相手方の母親との話し合いのシーンは特に注目されました。またドラマ後半で、自らの過去やエキセントリックな夫との結婚生活について、娘に告白するシーンも見事でした。ただ優しいだけではなく、つらい過去を乗り越えた経験や、意思のある強い女性である部分も見せ、“母”という存在のすごみを見せつけました。ドラマのレビュー投稿サイトでも『理想の母。母オブ母』など石田さんの熱演に称賛の声が上がっています」(テレビ情報誌の編集者)

 年齢を感じさせない美魔女ブームが続く中、シワも隠さず、リアルな母親像を描き出した石田の姿には心を動かされた視聴者が多かったようだ。もっとも、過去の石田を知る世代は驚いた人も多かったかもしれない。前出の編集者が続ける。

「30代以下の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、石田さんといえば、1993年に放送された月9ドラマ『あすなろ白書』で木村拓哉さんの相手役を演じた大人気女優です。10代で芸能界デビューし、アイドル歌手としても活動しました。大林宣彦監督の映画『ふたり』で女優開眼すると、20歳でNHK朝ドラ『ひらり』の主演を射止めました。2年連続で『紅白歌合戦』紅組司会などを務めるなど一世を風靡しましたが、20代後半でNHKのプロデューサーと結婚すると、30代は子育て中心の生活を送り、あまり表舞台には出てこなくなりました」

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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