自民党総裁選後、取材に応じる高市早苗氏=2024年9月
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 自民党総裁選の決選投票で、石破茂首相に敗れた高市早苗氏。女性として初めて“首相のイス”に座りかけた高市氏の今後は気になるところだ。一部報道では「新党結成か」と注目されたが、そんな動きはあるのだろうか。政治ジャーナリストの青山和弘氏は、「意外なところに危うさがある」と指摘する。

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今は虎視眈々と「ポスト石破狙い」 

 石破氏から「総務会長」を打診されたが固辞した高市氏。ノンフィクション作家の百田尚樹氏や、名古屋市長の河村たかし氏と新党を結成するのでは、という報道が流れたが、この点について青山氏はどう見たか。

「まず、自民党を離れることは考えていないと思います。この段階で党を飛び出していいことはありません。例えば『自民党から200人がついてくる』というようなことは考えにくいです」

 ひとまず、離党という選択肢はなさそうだが、

「今は総務会長就任を固辞して無役ですから、この状況が2年、3年と続くのであれば選択肢として浮上する可能性はありますが、この段階ではむやみに考えてはいないと思います。自民党でトップをとるんだ、という思いが強いでしょう。虎視眈々と『ポスト石破』を狙う中でどうすればいいのかと考えているのではないでしょうか」

 との見方も示した。

 毎日新聞と民間のデータ調査会社「社会調査研究センター」が3日に行った全国世論調査では、決選投票で石破首相に敗れた高市氏の今後の政治活動に期待するか尋ねたところ、「期待する」が43%で「期待しない」(38%)を上回り、「わからない」も19%あったと報道されている。

 期待される政治活動をしつつ、さらにはポスト石破を目指すとみられる高市氏に必要な要素とは何だろうか。青山氏はこう話す。

「高市氏は、保守の受け皿であるとともに以前の石破氏のような”いざという時の総理候補”のポジションも期待されているのではないでしょうか。高市さんが”岩盤保守層”に強く支持されていることは間違いありません。しかし同時に総裁になるにはいわゆる党内穏健派にも気を配ってアプローチしなければならないことをわかっていると思います。その証拠に、総裁選の決選投票での演説では保守的な姿勢はいっさい見せず、穏健派に対して党内融和を強調しました」

 支持基盤だけでなく、穏健派にもアプローチしていくにはどうすればいいのか。

「議員の支持を拡げことが不可欠です。慰労会で今回の支持者の結束を保つことも大事ですが、仲間を今まで以上に作る。今、高市氏は石破首相が以前いたような非主流派のポジションにいます。しかも今の石破政権は盤石とは言い難い。いざとなったら党内からも、国民からも『次は高市だな』と思ってもらえる存在になることが必要だと思います」(青山氏)

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「高市応援団」が足を引っ張る可能性も