高市氏の”強み”は諸刃の剣

 高市氏は、総裁選では決選投票で敗れたものの、9人の候補者の中でもっとも多くの党員票を獲得した。その一因となったのが、「高市応援団」と呼ばれる存在だ。

 青山氏がこう解説する。

「高市氏は、総裁選に出馬する際の20人の推薦人を集めるところでかなり苦労していました。高市氏自身は政治家としてかなりエッジが立ったですし、人付き合いがうまいほうではありません。他の議員との調整力とか、交渉力は以前から疑問視されてきたんです。しかし、総裁選挙ではあれだけ進しました。これはいわゆる“高市応援団”が世論を盛り上げたことも要因の一つです。議員ではない彼らがYouTubeやインターネット、SNSを駆使して、“激しく”発信していたから、その勢いや熱量に引っ張られて人気が上がっていった側面は否定できないと思います」

 応援団による高市氏への支援の熱は投票日が近づくごとに増していったが、同時に他候補への「口撃」も見られた。

「ここに高市氏の危うさが隠れている」と青山氏は指摘する。

「高市氏の応援団は熱を帯びて、高市陣営と支持者を引っ張ってきました。しかし、同時に排他的で攻撃力も強い。例えば、小林鷹之氏の支持に回ったかつての高市氏支持者を“裏切り者”と断罪した、河野太郎氏や林芳正氏のこともこれまで“媚中派”などと罵ってきたりしているんです。これが高市氏の抱えるジレンマです。例えば今回の決選投票で、麻生太郎氏が麻生派議員に高市氏への投票を呼びかけましたが、麻生派でも河野氏やその周辺は石破さんに投票したとみられます。高市支持の議員からも「応援団の攻撃力が強すぎで、取れるはずの票も取れない」と嘆く声が聞かれます」

 高市氏が、あくまで「次の首相」を狙うのであれば、極端に右に寄るだけではなく、真ん中に近い道も歩まなければならないということだろう。

(AERA dot.編集部・小山歩)

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