実際、ラブホテルの雰囲気は昔と比べて大きく変わり、2010年代後半には「ラブホ女子会」という言葉が生まれるなど、ラブホテルの使途が多様化した。いまでは、「サウナに特化」「子連れ無料」などホテルによってもさまざまな特色があり、ラブホテルの見られ方が変わってきている。

 日向さんがこう解説する。

「ラブホテルのイメージが変わったのは、夕刊フジの連載も影響したのではないでしょうか。20数年前から連載を続けて、ラブホの実情について発信し続けてきました。ラブホ文化の発展にも貢献するなど、文化的な面を持っていました。そうしたメディアがなくなってしまうのは非常に悲しいことです」

 夕刊フジは1969年に創刊。手に持ちやすく電車内などで読みやすいタブロイド判で、全国紙の半分の大きさだ。「オレンジ色のニクい奴」のキャッチコピーで、仕事帰りのサラリーマンらが手に取っていた。日向さんが連載を始めた当時も電車内で夕刊フジを半分に折って読んでいる男性を多く見かけたといい、「日向さんですか」と声をかけられたこともしばしばあったという。

 ところが2010年代からスマートフォンが普及し、夕刊フジを電車内で読む人は見かけなくなっていった。

 産経新聞社は休刊の理由を「デジタル端末の普及、コロナ禍に伴う帰宅時等の購読機会の減少、新聞用紙をはじめとする原材料費、輸送コストの上昇など、取り巻く環境は年々厳しさを増しました」とホームページ上で公表している。

突然、編集者から「夕刊フジ、休刊になります」

 ルポライターの國友さんは、2021年から夕刊フジの連載「実録・人間劇場」を担当している。日本から海外まで、國友さんが現地で出会った人たちのドラマを1200文字程度で写真とともに掲載している。

 そんな國友さんが夕刊フジの休刊を知ったのは、ほんの1週間前だという。

「突然、編集者さんから『夕刊フジ、休刊になります・・・』と題したメールが届いて。いま、インド編を連載で書いており、次からモンゴル編になる予定だったのですが、ビックリでした。夕刊フジは、自由に書かせてくれる最後の紙媒体といっても過言ではなく、非常に悲しいです」

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