湾岸エリアのマンション群(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 現にメガバンク3行(三菱UFJ、三井住友、みずほ)、りそな銀行、三井住友信託銀行は、日銀の政策を踏まえて短期プライムレートを9月から引き上げる。その影響で、変動金利型の適用金利は10月以降に引き上げられる公算が大きい。逆に足元で長期金利は低下傾向を示してきたことから、先の5行は9月から固定金利期間選択型(固定金利期間10年)の適用金利を引き下げることを8月30日に発表した。

1%の上昇で借り換えは早計

 すでに変動金利型でローンを組んでいる人は、金利の引き上げに戦々恐々となっているかもしれない。今のうちに固定金利型へ借り換えたほうが無難かもしれないと考えている人もいることだろう。

 だが、バブル期の頃から金利の推移をリアルタイムで観測してきたファイナンシャルプランナーの深野康彦さんはこうアドバイスする。

「9月には変動型の適用金利が見直されるでしょうし、日銀の審議委員の中にはさらなる追加利上げを実施すべきだと唱える人もいます。とはいえ、たとえ現在の適用金利よりも1%引き上げられたとしても、変動金利型から固定金利型への借り換えは無用でしょう。これから新たにローンを組む人の場合も、変動金利型を選んだほうが賢明かと思います。実は、金利の上昇局面は意外と短いというのが経験則で、バブル期でさえ1年半程度に留まっています。金利が上昇期を迎えても、35年間の返済期間を見渡せば一時的な現象にすぎず、均してみれば全期間固定型よりも低いか、もしくは同等程度の金利になるでしょう」

 ただし、適用金利が引き上げられると総返済額が増えてしまうのも確かだ。それでも変動金利型の増額分が全期間固定型のそれを上回ることはまず考えがたいが、借りている側にとってはネガティブな話であることに変わりはない。

 深野さんはこうアドバイスする。

「3千万円を借りていて金利が1%上がれば、単純計算した年間の利息負担増加分は30万円で、月々では2万5千円。その分だけ元金の減りが遅くなってしまいますが、だからといって全期間固定型や固定金利期間選択型への借り換えを行うのは早計でしょう。利息負担の増加はもったいないと感じるなら、ボーナスなどのまとまった資金を繰り上げ返済に充てて、元金を減らすのが効果的です」

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