新社名は「SMILE-UP」と発表された

 ジュリー氏の手紙には、「ジャニーとメリーから相続をした時、ジャニーズ事務所を維持するために事業継承税を活用しましたが、私は代表権を返上することでこれを辞めて、速やかに納めるべき税を全てお支払いし、会社を終わらせます」という記述もあった。相続税を逃れた額は860億円とも報じられている。ただし、代表権を返上する時期については触れらておらず、それ次第で過去に遡って納税するかが変わってくる。これについて、同じ「当事者の会」の平本淳也代表はこう話す。

「その分を本当は被害者の補償に充ててほしいくらいです。批判されたから、『じゃあ、全てお支払いします』と言うのなら、それははじめから払わなきゃいけないお金だったのでは? ということになってしまいますよね。そもそも、ジャニーズ事務所は内部留保だけで数千億円あるとも聞きます。原資は心配することはないでしょうし、ジュリー氏の個人資産だけで十分足りてしまう。救済会社として生まれ変わるジャニーズ事務所がしっかりその努めを果たしてほしい」

 会見では、被害者がどのくらいの補償を受けられるのかという具体案は語られなかった。

「補償額は人によって変わりますからね。ウチの会のメンバー13人も人によって変わりますし、325人もそれぞれ違うでしょう。逆に、一律に決められては困るんです。現時点で具体的な額なんて発表できるわけないんですよ」(同)

 会見は「1社1問まで」というルールが一方的に決められ、2時間で終了させられた。記者も手を上げ続けたが当たらず、十分な説明がされたとは言い難い会見だった。せめて、被害者への対応だけは迅速かつ丁寧に行ってほしい。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
ヒッピー、ディスコ、パンク…70年代ファションのリバイバル熱が冷めない今