PTAを解散し、新組織を立ち上げる動きもある。従来のPTA活動と何が違うのか。AERA 2024年9月30日号より。
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千葉県松戸市の市立栗ケ沢小PTAは昨年4月に解散、同時に「チーム栗っ子」という新組織に移行した。
初代代表の大塔達紀(だいとうたつのり)さんは、「保護者や教職員、地域住民が自発的に活動を行っている」と説明する。
PTA解散のきっかけは、20年度、入学時に自動的に加入扱いだったPTAへの入会が「自由化」されたこと。保護者の半数以上が「非会員」になると、保護者を「会員」「非会員」で分ける意味も見いだせなくなってきた。
そこで、「チーム栗っ子」では「入会」という概念を基本的になくした。入会制を維持しているのは、執行部や運営委員のメンバーだけだ。入会制の廃止に伴い会費制もやめ、募金制に移行した。
「現在は、PTAの繰越金を活動運営費としていますが、昨年の運動会で募金箱を置いたところ、約10万円が集まり、手ごたえを感じました」
東京都大田区の区立嶺町小は、14年度にPTA活動を完全ボランティア制の「PTO(Parent Teacher Organization)」に移行した。PTAの実質的な解散であり、当時、先進的な取り組みとして話題になった。
三つの「や」をなくす
昨年4月から嶺町小PTOの第6代団長を務める久米雅人さんによると、多岐にわたるPTA活動に対して、保護者からさまざまな疑念の声が上がっていた。
「時給換算すれば200円ぐらいにしかならないベルマーク集めに、会社の有休を使わされる」
「赤ちゃんを背負ってでも、古紙回収に行かなければならないのか」
久米さんは、PTAをブラックなものにするものは、「三つの『や』」だと指摘する。すなわち、「やらないといけない義務感」「やらされている強制感」「やらない人がいる不公平感」だ。
「三つの『や』をなくすべく、PTOを組織しました。PTOは会員制で、会費も徴収しています。ただ、仕事への参加は任意で、『できるときに、できる人が、できることをやる』が合言葉です」
登校時の交差点での見守り活動でボランティアを募集すると、毎回たくさんの保護者が協力してくれるという。