子どもたちを集団で登校させる「登校班」の編成はPTAの役割だが保護者の負担も大きい(写真:米倉昭仁)

 4月の開校時、中心メンバーは10人ほど。初仕事は6月、運動会の手伝いだった。

 多くの学校は、保護者が運動会を参観することを認めているが、児童への指導や競技の進行で教員は忙しい。参観者の受け付けや誘導などには人手が必要だ。そこで、成瀬さんらが運動会の手伝いを募集すると、70~80人の保護者が手を挙げた。

 学校の要望を聞き、打ち合わせを数回行った。当時はコロナ禍だったので、密にならないように参観を3部制にして、保護者を入れ替えることにした。開門時間や受け付けの設置位置、保護者が並ぶ場所を学校側と詰めた。

「当日、保護者ボランティアは、受け付けや消毒、誘導、運動会の片づけを手伝いました。てんやわんやでしたが、ある程度、うまくいった。このかたちでやっていける、と思えるようなスタートが切れた」

 一方、課題も浮かび上がった。たとえば、保護者ボランティアが活動中にけがをした場合に備える団体傷害保険への加入だ。そのためにはボランティアグループを団体化し、保険会社に支払う保険料を管理する必要がある。全保護者にアンケートをとり、ボランティア組織が塚田南小を代表する「保護者の会」であると承認を得て、22年1月、「塚田南小学校サポーターズクラブ」を発足。団体傷害保険の費用は、保護者の理解を得て学校に支払う学校関連費用から支払う。

 そこで「一番ネックになった」のは、登下校時に交差点などで子どもたちを見守る活動だった。

「保護者としては、子どもたちの見守り活動は絶対に成立させたい。でも、義務になってしまえば、サポーターズの枠組みが壊れてしまう」

 そこで、「通学路安全対策委員会」という別組織を立ち上げ、全保護者による当番制の見守り活動を行うことにした。年に1度くらいの負担はあるが、できないときに代わりの人を探す必要はなく、出欠もとらない。

 共同代表の山本裕斗さんは、こう語る。

「サポーターズクラブは保護者に何かを強いる組織ではありません。『子どもたちのために何かをやりたい』と声を上げたら、それをサポートする組織なんです」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

AERA 2024年9月30日号より抜粋

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