スマートフォンの中をのぞくと大学が見えてくる。2023年、関東学院大は理工学部に表面工学コースを設置した。表面工学とは金属、ガラス、プラスチックなど、材料の「表面」に加工を施し、本来持ちえない新たな機能を加える技術を言う。大学はこの分野を得意としており、産学連携を進めてきた。その成果が特許として示されている。「大学の特許権実施等件数」ランキングをもとに、大学の強みを読み解いていこう。発売中のアエラムック「就職力で選ぶ大学2025」(朝日新聞出版)より紹介する。
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関東学院大は22年度の特許権実施等件数ランキングで7位、私立大学で早慶、東京理科大をおさえてトップになった。大学はこう説明している。
「特に、『めっき』などの表面工学の分野で、長年にわたり高い評価を受けてきました。これらの技術が、自動車のバンパーなどに活用され、日本車の軽量化や燃費向上に大きく貢献してきました。(略)表面工学分野の技術は、スマートフォンなどの小型電子デバイスに使用される電子回路基板の形成にもめっき技術が活用されるなど、ますます重要度が増しています。電子回路での信号の伝送効率の高い方法の開発などを通じ、電子機器の『高性能化』『軽薄短小化』にも関東学院大学の研究業績が大きく寄与しています」(大学ウェブサイト24年2月22日)
特許権ランキング
「特許権実施等件数」「特許権実施等収入」「研究者1人あたりの特許権実施等収入額」(2022年度)のランキングは以下の通り。
特許権実施等件数(件)
1位:東京大/4,487
2位:京都大/2,224
3位:東北大/1,607
4位:北海道大/1,559
5位:大阪大/1,367
特許権実施等収入(千円)
1位:京都大/1,119,118
2位:東京大/613,189
3位:大阪大/414,288
4位:東北大/208,066
5位:北海道大/183,435
研究者1人あたりの特許権実施等収入額(千円)
1位:京都大/201
2位:鳥取大/174
3位:奈良先端科学技術大学院大/131
4位:日本獣医生命科学大/95
5位:東京農工大/93