コーヒー1杯で半日…カフェは回転率に苦悩
「もともと、カフェは、待ち合わせでの時間つぶしや、軽食をとる、一休みする、といった比較的短時間の使い方が多いこともあり、客単価が低くても、回転率は高いのが当然でした。けれども、ここ数年、リモートワークが増え、長時間になる使い方が増えました」
だが、こうした状況はカフェにとっては死活問題だ。
「カフェは客単価が比較的高くない代わり、高い回転率を見込んでいます。しかも、コーヒーと軽食やケーキなどのセットを注文する通常の客に比べ、カフェワーカーやカフェ勉をする客の単価は低い傾向にある。大手チェーンはともかく、コーヒー1杯で長時間粘られては、個人カフェ経営者が悲鳴を上げるのも無理はありません」
この傾向は特に都心部で顕著だという。コーヒー1杯で長居する客が増えれば、経営はひっ迫してしまう。
今年1月に発表された帝国データバンクの調査結果によると、2023年の喫茶店(カフェ)の倒産は全国で72件。前年の34件から2倍以上増え、過去最多となった。
値上げするか、時間制限を設けるか
物価の高騰もあり、「ある程度の長居を見越して値上げするか、回転率を上げるために時間制限を設けるか、カフェは経営戦略の岐路に立たされている」という。
確かに、90~120分といった時間制限を設けるカフェを見かけるようになった。
カフェで仕事をすることが多いという26歳のWEBライターの男性は、「1時間を超えると、周りを気にしてしまう」と話す。以前、時間制を導入するカフェで店員から声をかけられた。「『そろそろお時間です』と。ほかにも勉強している人とか、何人かに声をかけていました。ああ、滞在時間をチェックしているんだな、と思いました」
それまでカフェで時間を気にしたことはなかったが、今は違う。
「1時間を超えたあたりで、『何か頼まなきゃ』とそわそわしてしまって……。結局、カフェ通いを減らし、自宅で集中できる環境を整えています(笑)」
カフェ側はカフェワーカーをどうとらえているのか。