「あなたの職場では、画一的な働き方を強制されていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で、働き方改革、組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」には共通する時代遅れな文化や慣習があり、それらを見直していくことで組織全体の体質を変える必要があると気づきました。
その方法をまとめたのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』です。社員、取引先、お客様、あらゆる人を遠ざける「時代遅れな文化」を変えるためにできる、抽象論ではない「具体策が満載」だと話題。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「自由な働き方を選べない職場」の問題点について指摘します。
画一的な働き方を強制する組織
日本企業における働き方は、近年は大きく変化している。たとえば代表的なのがリモートワーク。
日本でもCOVID-19の蔓延を機に一定の広がりを見せた。しかし感染の流行が収束し始めた2023年ごろから、強制的に元に戻す動きが見られるようになった。「出社派 vs. リモートワーク派」の綱引きというか、もはや宗教戦争のような信条のぶつけ合いの様相を呈している。
このように、個人の主体性は無視して、画一的な働き方を全社に強制する組織は依然として多い。
出社勤務とリモートワーク勤務、各々のメリットとデメリットの議論はここでは控えるが、筆者の本音は「どちらでもよい」である。
出社かリモートワークかが問題ではなくて、個々人が自分の生産性および集中力の高い方法を選んで実践することができない状態が問題である。
手段を目的化してしまい、いわば思考停止状態を創ってしまう。組織の変化や成長を妨げるばかりでなく、個の自主性や主体性、思考して行動する習慣そのものが奪われる。とてもではないが文化度の高い組織とは言い難い。
当たり前のように自宅や旅先からオンラインでミーティングに参加し、素晴らしい成果を出している人たちと日々仕事をしていると、それを許容できる組織とできない組織の成長力や柔軟性の格差は、今後ますます広がるだろうと感じる。
とどのつまりはコミュニケーションの問題
現場と管理職、経営層、人事部、総務部。お互いが一方的に正当性や合理性を主張し、相手を無理やり合わせさせようとする姿勢が根底にある問題だ。
現場の都合を見ようとしない、もしくは伝わっていない。または現場を信じていない。要するにタテのコミュニケーション不足が問題である。
「会社の方針が不満なら、辞めればいい」
そのような姿勢では何も解決しないし、誰も幸せにならない。お互いのやり方や事情を相互にリスペクトし、共に成果を出しつつ社会にも配慮のあるやり方を実践しよう。
その意味でも、組織や経営陣との対話で理想とする働き方を素直に伝えていくことは大切だ。
経営陣でも人事部門の責任者でもないあなたが、自分に合った働き方を手にいれるために、あるいは取り戻す、継続するためにどうしたらよいか。リモートワークを例に4つの方法を紹介しよう。