これはつまり、次のようなことである。

 あなたがピーナッツバターサンドウィッチを作り、その手を洗わないまま自分の赤ん坊を抱え上げれば、少量のピーナッツタンパク質がその子の肌に残るかもしれない。その子の皮膚が「守りのゆるい」状態(リーキー・スキン)なら、付着したピーナッツタンパク質は肌の奥へと染み込んでいくだろう。もしその子が続いてピーナッツを食べれば、それがピーナッツアレルギーを引き起こしうる。

洗剤工場で働いている人が抱えるトラブル

「いろんなものをばらばらにしてしまう強い化学物質で作られた、とてもきつい洗剤がありますよね」。

 スタンフォード大学ショーン・N・パーカー・アレルギー・喘息研究センター長であるケアリー・ナドー医師は私にこう話した。

「それも当初はよいものだと思われていました。でも、それから人々はこんな風に捉えるようになったのです――ちょっと待って、こういう洗剤を作る工場で働いている人たちはみんな、呼吸のトラブルを抱えている、と。人がプロテアーゼ(タンパク質を分解する酵素のこと)を洗剤に入れているという事実、そうした洗剤が布や肌、髪や皿をきれいにするものとされている事実……実はそれらが、私たちの体に害を与える可能性があったのです」。

 私たちの議論の間、ナドーは近代的な暮らしの負の側面についての主張を断固として譲らなかった。とりわけ、私たちが自分たち自身─そして子供たち─を日々曝露させているあらゆる化学物質のことについては。彼女は重篤な湿疹が近年増加していることを指摘した。

 1940年代、50年代には、先述のような新型の洗剤を作っていたのと同じ会社(例えばダウ・ケミカルなど)によって「キュキュッと音が鳴るほどぴかぴか」の家庭のイメージが喧伝されていた。

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