一方で、紙メディアに情報の物足りなさを指摘する声も出た。桑江常史さん(昭和薬科大学附属高校1年)はこう話す。

「紙のメディアは書いてある情報に限られてしまうけれど、ネットだと気になっていたニュースを見つけたときに、関連記事をどんどん見られるし、読み比べることもできる。分からない単語があっても、どういう意味だっけ?と調べることもできる」

 ネット上の情報や発言の信頼性について疑問を持つ意見も。服部紀伽(のりか)さん(都立豊島高校3年)は言う。

「SNSなどで流れてくる中に、本当なのかわからない情報も結構あって、ほんとなのかなといつも思ってて。今回読んだ特集も『強いメディアはこう作る』というタイトルだけど、本当なのかわからない情報を広めることが『強いメディア』と言えるのかな、と感じました」

自分好みの雑誌を作る

 では、どのような企画や、工夫があれば、若い世代が雑誌を手に取るのだろう。

 佐藤瑠花(るか)さん(昭薬附高2年)からは、「硬い表現だと頭に入ってこなくて何回も読み返してやっと理解する、みたいなこともあります。逆にめっちゃ若者言葉とか、フランクな表現でニュースを扱ってもいいと思う」。島袋盛已(せいい)さん(同2年)は「わかりやすく情報をほしいという人に向けて、最初のほうにニュースや特集を要約したものを載せて、もう少し具体的な内容を知りたい人はこの先もどうぞ、というふうにしたらどうか」。

 ネット上のニュースサイトでは、自分の関心のある記事が自動的に表示されたり、興味のない記事は非表示にできたりするなど“パーソナライズ”できる一方で、多様な意見に触れる機会が少ない。逆に、さまざまな記事が1冊になっている雑誌や新聞は、自分と違う意見に触れる機会にもなる。生徒たちからは「異なる思考を持つ人同士の対談企画」のようなさまざまな考えに触れる企画案や、「自分の好きな記事をいくつか選んで、コンビニなどで自分好みの雑誌を作れるようにする」といった、紙メディアがニュースサイトに一歩近づくアイデアも挙がった。

 AERAが読者と一緒に時代を見つめ、未来をつくっていくメディアになれるか。厳しい意見にも耳を傾け、変化していかなければ、とあらためて決意した一日になった。(編集部・深澤友紀)

AERA 2024年9月23日号

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