そして、3月でフジテレビの水曜22時枠が終了し、「ビーフorチキン?」の心配がなくなる……と思いきや、TBSの「日曜劇場」がデンと構える日曜21時に新枠を設けるという。決まった以上は「ビーフorベジタブル?」くらいの違いを見せてほしいところだが、そもそも視聴者は「どちらかを選びたい」と思っているわけではない。これまで「後発のドラマ枠は惨敗する」という歴史を繰り返してきたのは、「同じ時間帯に2つのドラマはいらない」という視聴者の意志表示ではないか。

 制作側に求めたいのは、視聴者に選ばせるのではなく、各時間帯に「シェフのスペシャリテ」を一品用意し、自信を持って勧めること。視聴率の低迷を基準に危機感を抱くのなら、「減ってしまった客を奪い合うのではなく、メニューのない時間帯にドラマ枠を新設して客数を増やしてほしい」と切に願っている。

●きむら・たかし スタッフ、キャストの誰に話を聞いても“枠かぶり”を望んでいる人はいない。とりわけ3つのドラマ枠が身を削り合うような火曜22時の当事者は気の毒だ。「そこにドラマファンがいるから」の論理は今の時代に合わない。