飯田:「私自身、以前から遠藤さんは強面だけどかわいいところがある人だなっていう印象を持っていたので、『民王』のドラマ化が決まったときに、絶対武藤総理の役は遠藤さんにやってもらいたいと思っていて。でも、遠藤さんはスケジュールがいっぱいだったので諦めかけていたのですが、原作と役柄をとても気に入ってくださって、お仕事のスケジュールを調整して出てくださることになったんです。

 息子の翔役を演じた菅田将暉くんも、原作を読んで即『やりたい!』って言ってくれました。出演が決まった当時から注目されてはいましたが、『民王』出演中にさらにブレイクし、どんどん人気者になっていきましたね」

●ツンデレ秘書役で大ブレイク!貝原役、高橋一生という隠し玉

――実は、そんな主役陣もさることながら、本作は脇を固めた役者さんたちへの評価がすごく高く、中でも、ツンデレな秘書・貝原を演じた高橋一生さんは、テレビ誌が主催するドラマアカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞されるほどブレイクしましたよね。

飯田:「高橋さんは子役からデビューしているし、舞台でも活躍されていて、お芝居がハンパなく上手いんです。だから、こういう掴みどころのない役でも間違いなく演じてくれる確信はありました。貝原は、セリフもそれほど多くないし、わかりやすく面白いことを言うわけでも、するわけでもないのですが、高橋さんが間や表情、セリフの言い回しでコミカルというか、独特の空気感を出して貝原というキャラクターを育ててくださいました。実はここまで貝原の人気に火が付いて驚いているのは高橋さんご自身なんです。スタートした頃は、貝原の少ないセリフで、役柄をどう膨らませたらいいか、戸惑ってたぐらいでしたから(笑)。

 正直、貝原人気は私たちの予想を超えるものでした。ツイッターやインスタグラムも貝原ネタのときは異常な盛り上がりを見せてたんです。

 あと、どうやら一部の方には貝原と翔くんの関係が少し“BL”っぽく見えるようです。そういう意味でもこの2人は人気でしたね。実は、演出の木村ひさしさんがその反応を面白がって、貝原が翔くんを壁ドンするっていうシーンをサービスのつもりで入れたりしてました(笑)」

――『民王』が放送されていた金曜ナイトドラマは『トリック』『特命係長 只野仁』『時効警察』など、過去にもドラマファンが喜ぶ、ある種マニアックなドラマをたくさん輩出してきた枠ですよね。

飯田:「まだまだチャレンジングなことができる枠ではあるんですが、『トリック』や『特命係長』をやっていた頃に比べると『深夜』的なカラーは薄くなってきていると思います。

 夜の11時15分の枠って、昔は『深夜』だったんですね。でも今はもうひとつのプライム枠ともいえるポジションですし、他局も深夜帯ドラマを多く作っていて珍しくはなくなった。昔よりこの枠はメジャー感のある企画が多くなっていると思います。ただ、その中でも実験的なことや挑戦したいことができる、貴重な枠ですね」

――そういった意味では、今回『民王』は、スペシャルドラマ版のみならず、貝原を主役にしたスピンオフドラマにネットドラマの配信、さらにはムック本の発売に至るまで、新しい「テレビドラマ」のビジネスモデルにチャレンジしている印象です。

次のページ