過去最多の9人が立候補した自民党総裁選の火ぶたが切られた。小泉進次郎元環境相の優勢が伝えられるが、15日間の選挙期間中に行われる公開討論会で失言などがあれば、情勢が一変することも考えられる。はたして、進次郎氏はこのまま逃げ切れるのか。また、後ろ盾となっている菅義偉前首相の意向はどう影響を及ぼすのか。関係者を取材した。
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9月8日、横浜市のJR桜木町駅前で開かれた進次郎氏の街頭演説。そこに現れた菅氏は「小泉進次郎さんに日本のかじ取りを託したい。そんな思いで皆さんと一緒になって応援している」と初めて公の場で進次郎氏を支持すると明言した。
菅氏に関しては衰えを指摘する声もあるが、記者会見で菅氏と対峙してきた東京新聞の望月衣塑子記者はこう話す。
「目や手の動きはちょっと鈍いかなと思いましたが、声には覇気がありました。ただ、選挙カーに立つのは桜木町の1回きりだとも言われています。菅さんはキングメーカーであることをあまり表に出したくない。それでも1度だけは、『俺が進次郎のバックにいるぞ』ということを公の場で示し、影響力を見せつけたかったのだと思います」
実際、選挙戦においても菅陣営が深く入り込んでいるようだ。横浜市の自民党関係者はこう話す。
「進次郎さんへの支持を訴える電話作戦は、菅事務所が仕切っています。スタッフが手分けして、全国の党員・党友に1人1日あたり200~300人くらい電話かけをしています。その結果や反応は、菅事務所にも毎日報告しないといけません」
進次郎陣営が作成したとみられるカラー写真入りのチラシには「決着 新時代の扉をあける」という見出しの下に、「私は総理になって、時代の変化に取り残された日本の政治を変えたい。長年議論ばかりを続け、答えを出していない課題に決着をつけたい」などと書かれている。「決着」というキーワードを強く押し出している。
一方、首相になるには、総裁選に立候補した他の候補者たちとも選挙で「決着」をつける必要がある。
12日には9人の候補者が一堂に会した「所見発表演説会」が行われたが、進次郎氏を幼少期から知る横須賀の自民党員はそれを見て違和感を覚えたという。