現地時間9月10日に行われた米大統領選テレビ討論会に登場した共和党大統領候補ドナルド・トランプ元大統領(左)と民主党大統領候補カマラ・ハリス副大統領(写真 AP/アフロ)
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 11月のアメリカ大統領選挙に向け、民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領(59)と共和党大統領候補のドナルド・トランプ被告・前大統領(78)がテレビ討論会で対決した。米在住ジャーナリストが現地から報告する。

【実際の写真】米大統領選テレビ討論会の様子を若者たち

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 ハリス氏が、罠(わな)に餌を仕掛けて、笑顔を浮かべながら待つ。すると、トランプ氏がすかさず餌に食いつき、見事に罠にハマる。経験を積んだはずの男性が、何度も何度も見事に罠の中に入り「自爆」する。

 10日夜(米現地時間、以下同)、大統領選挙のテレビ討論会で目の当たりにした驚くべき光景だ。記者が取材に行ったニューヨークのルーフトップバーにいた数百人の若い人からは、その度にハッハッハ!と笑い声が上がった。まるでコメディーだ。

ハリス氏が指をあごに当てるたび

 ハリス氏は仕掛けとなる発言をすると、右手の細い指をあごに当てる。そして、怒りで火がついた状態のトランプ氏がいる右方向を見て、艶然(えんぜん)と笑顔を浮かべている。彼女が指をあごに当てるたびに若者たちから笑い声が上がった。ハリス氏が「思うつぼ」と思っているのが、ありありと分かるからだ。

 トランプ氏は、討論会が始まってからしばらくは神妙な様子で、不規則発言を避けていた。討論会前に側近から訓練を受けており、司会に対し「(質問を)ありがとう」とまで言っていた。しかし、最初の罠は、90分の討論会が始まって30分ほどで放たれた。トランプ氏は、下り坂をゴロゴロと転げ始めた。

 「視聴者のみなさんは、トランプ氏の選挙集会に行くべきだ。そうすれば、彼が理にかなっていないことばかり言うのを聞かされてつまらなくなり、集会が終わる前に人々が退席するのを見られるから」(ハリス氏)

 実は、トランプ氏はイベントの参加者数について異様な執着心を持っている。オバマ元大統領は「数字に対する異様な妄想は、おかしくないか」と8月に開かれた民主党大会の演説で触れている。

 トランプ氏は2017年1月、大統領就任式に集まった市民の数が25万人としたメディアの報道が「嘘」だと批判した。09年のオバマ氏の就任式には180万人が集まり、ロイター通信が高所から撮影した、09年と17年の2枚の写真を並べると明らかに違いがあるが、トランプ氏は「嘘をついている」としていた。

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「もうテレビを消したくなった」