臭いを必要以上に「気にしすぎる」傾向も…。画像はイメージ(GettyImages)

臭いを気にする人の7割は「問題なし」

 ケアは市販品でなるべく安価なものを勧め、効果的な使用のタイミングなどもアドバイスしている。

 5000人近い利用者の3割が「問題あり」ということは、逆に見れば、体臭への不安を抱えていた人のうち7割は「問題なし」と測定されたということでもある。

 石田さんは、

「問題がなかったことに驚く方もいて、体臭を気にしすぎている人が非常に多いのだとも実感しています」と率直な思いを話す。問題がないということを伝え、無駄にお金や時間を使う必要がないことを理解してもらうのも、このサービスの重要な役割である。

 石田さん自身、大学院生のころに、自分の体臭に悩んだ時期を過ごした。結果的には生活習慣を変えるだけですぐに改善されるものだったが、その経験が起業の動機になったという。

 そもそも、体臭とは何なのか。石田さんによると、人間の体からは500~1000ともいわれる化学物質が放出されているが、「くさい」原因になる物質はごく一部。

 体臭が強くなってしまう理由は、わきがなど先天的なもの。加齢によるもの。食生活や、入浴や衣類の洗濯をあまりしないなどの生活習慣に起因するものに分けられるが、自分で気づくことができる人は5割程度とも言われている。

「嗅覚には慣れや順応といった性質があります。例えば親のどちらかがわきがの場合、子どもはそのにおいがする環境で育ちますから、思春期になって自分がわきがになっても特異なにおいとは感じず、気づくことができない可能性があります」

 だが、当事者は無自覚であっても、「スメハラ」という言葉があるように、席が決まった職場などで「くさい」環境下に置かれる側には、強いストレスがかかる。

 その一方で、当事者にどう伝えるか、その必要性があるのか、という難しい問題もある。フリーアナウンサーのSNSでの発言が炎上したことも、この問題の繊細さを表している。

 石田さんは「どんな伝え方が正しいか答えはない」と前置きしつつ、私見として、入浴や洗濯をしないといった生活習慣が原因の人に対しては、ストレートに伝えていいのではないかと指摘する。石田さん自身がそうだったように、本人の行動を変えることによって、改善が可能だからだ。

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