今年の夏は例年以上に「体臭」問題が注目を集めた。画像はイメージ(GettyImages)
この記事の写真をすべて見る

 今夏、フリーアナウンサーの炎上発言でも注目を浴びた「体臭」問題。スメハラなる言葉も生まれているが、当然、体臭に対する感覚には個人差がある。体臭を測定するユニークなサービスを展開している会社の社長によると、自分がにおうことに気づいていない人がいる一方で、問題がないのに、根拠のない不安を抱えてしまっている人も少なくないようだ。体臭にまつわる「実態」を取材した。

【画像】多いのは中高年女性…「口臭が強い」人の割合はこちら

*  *  *

 フリーアナウンサーの炎上騒動を振り返ってもわかるように、体臭の問題は非常にデリケートだ。時に他人に不快な思いをさせてしまう一方で、においは「見えない」ため、自分では気付きにくいという難しい面もある。特に汗をかく夏は、誰もが自分のにおいに不安を感じる瞬間があるはずだ。

そんな体臭を測定し、「見える化」するサービスを展開しているのは、埼玉県にある「オドレート」という会社。同社は「odorate」という体臭測定キットを独自に開発した。無地のTシャツと小さな瓶をキットの購入者に郵送し、瓶のフタを空けてTシャツの内側に取り付け、24時間続けて着用してもらうことで体臭を“採取”する。

 生活は普段通りでよく、終了後、購入者はTシャツとフタを閉めた瓶を専用の袋に入れて、同社の研究室に返送するだけだ。研究室では、臭気判定士がTシャツのにおいをかぐ「官能検査」をしたうえで、専用の分析機器で、においの原因となる25の化学物質の量を測定。その結果によって「くさい」かどうかを判定する。

 臭気判定士でもある社長の石田翔太さんはこう話す。

「周囲に影響を及ぼすほどの、いわゆる『くさい』人は、官能検査でほぼ判断できます。官能検査での結果を、物質の測定で裏付けるという形になっています」

 2019年の夏にサービスを開始し、これまでに5000人近くが利用したが、実際に「問題あり」と判定されたのは3割ほどだそう。

 その利用者には、何が原因物質になっているかを伝えるとともに、

▽カレーのようなにおい
▽腐りかけの〇〇(食材)のようなにおい
▽鉛筆の芯のようなにおい

 など、正直な言葉で、どのように「くさい」のかを伝える。

「体臭の強い方には、その物質に合った正しいケアの方法をご提案します。原因物質にあっていないケアをしていたり、たくさん使わなくてはと、むやみにお金をかけてしまっていた方も少なくありませんでした」(石田さん)

著者プロフィールを見る
國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

國府田英之の記事一覧はこちら
次のページ
自分で気づくことができるのは5割