冠水した道路を歩く際、裸足は危険。紐靴を履いて足を守ることが重要だ。写真は、7月6日の豪雨で冠水した東京都新宿区の道路
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 ゲリラ豪雨や台風による記録的な大雨で、各地で被害が続出している。水害への備えは大丈夫か。AERA 2024年9月16日号より。

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 水害から命を守るために意識すべきことは何か。

 防災士で、防災コンサルタント事業を行う「防災クリエイティブマネージメント」(大阪府大阪狭山市)の防災アドバイザー・岡本裕紀子さんは「日頃から地形(アップダウン)を把握しておくことが重要」と話す。居住地域だけでなく、勤務先周辺など立ち回り先の地形も把握しておくことが大切だという。

「地形の把握に向いているのは、自転車です。自転車に乗っている時に『足にどのくらい力を入れているか』ということを意識すれば、わずかな上り勾配・下り勾配までつぶさに地形を把握することができます」

 自転車がなければ、ハザードマップで地形のリスクを知っておくだけでも安全な避難につながるという。

長靴での避難はNG

 避難は、道路が冠水する前に済ませることが肝心だ。局所的大雨の場合、状況が急変することもあるので、避難中の冠水を想定し、紐靴で避難する。裸足になるのは極めて危険。踏むと足を負傷してしまう原因になるものも流れてくる可能性もあるからだ。NGは長靴。水位が長靴の丈を超えると靴の中に水が入ってきて歩きづらくなる、と岡本さんは指摘する。

「そして、傘や杖、ほうきの柄などの棒を使って足元の安全を一歩一歩慎重に確認しましょう」

 8月21日に東京を襲ったゲリラ豪雨では、西新宿の人通りの多い交差点近くで、重さ約100キロもある鉄製のマンホールのふたが二つ吹き飛んだ。急な豪雨が下水道に一気に流れ込んだことで、下水道内の空気圧が高まりふたを吹き飛ばす「エアーハンマー現象」が起きた可能性が指摘されている。

「マンホールのふたが吹き飛ぶ前に、ふたがガタガタと音を立てたり水や空気が噴き出すことがあります。この現象を見かけた場合はすぐさま避難してください」(岡本さん)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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