9月10日、広島との首位攻防戦で、坂本は一回に先制本塁打を放った

 だが、35歳という年齢を考えると、ピークは越えている。打撃不振が続けば、絶対的存在としての地位が揺らぐ。優勝争いの9月に入って3試合でスタメン落ち。岡本和真が三塁に回り、一塁には大城卓三、秋広優人がスタメン起用される試合が増えている。実力主義の世界で力のある選手が起用されるのは当然のことだろう。

スタメンで出ない試合は大きく負け越し

 とはいえ、興味深いデータがある。後半戦36試合で、坂本がスタメンで出場した試合は17勝6敗1分、勝率.739と大きく勝ち越しているが、スタメンを外れた試合は3勝9敗、勝率.250と苦戦している。とくに最近15試合では、坂本がスタメンの試合は8勝1敗、勝率.889と9割近い勝率を残し、逆にスタメンを外れた試合は1勝5敗、勝率.167と大きく負け越している。

 先発投手や対戦カードの兼ね合いがあるため、坂本1人が勝敗のカギを握るわけではないし、坂本のコンティションを考慮してスタメンを外れた試合もあるだろう。

 だが、セ・リーグ他球団の守備コーチはこう指摘する。

「坂本がスタメンにいたほうが嫌ですよ。不調でもここぞの場面では安打を打つ技術がありますし、守備力が高い。岡本和真は三塁の守備が決して下手ではないですが、坂本のほうが上です。球際に強く、守備範囲が広い。緩いゴロに反応してジャンピングスローでアウトにする技術が高い。岡本は一塁の守備が巧いので、坂本三塁、岡本一塁だと守備力がグッと上がる。大城の打撃は確かに魅力ですが、本職は捕手なので一塁の守備力が高いとは言えません」

 このコーチが「三塁・坂本の隠れたファインプレー」として挙げた場面がある。巨人が延長12回の末にサヨナラ勝ちした今月7日のDeNA戦(東京ドーム)。DeNAの二回の攻撃1死一塁で、先発の石田裕太郎が打席に入り、初球からバントを仕掛けたが3球ともファウルとなり、三振。一塁走者を二塁に進められなかった。

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