表向きにイクメンをアピールする父親がいる一方で、当たり前に家事育児をこなす父親もいる。双方を同じ“イクメン”と呼んでいいのだろうか。他方でイクメン以下の男性もまだまだいる状況はどうしたら変わるのか。AERA 2024年9月16日号より。
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「まだまだみんな『家事育児=女性』という呪縛があるのかもしれない」
15年前に小児科医である妻と結婚した愛知県の40代男性はこう語った。男性は会社員であり主夫でもある。
「大学のゼミのOB・OG会をやったとき、僕が『仕事をしながら家事育児を全部やっている』と話したらみんな驚いて絶賛し、1時間くらいその話でした。もし僕が女性なら『そうなんだ、夫がもっと手伝ってくれるといいのにね』くらいで終わったはず。性別が逆だとこんなに注目されるとは、やっぱり日本の社会はまだまだだなと思いました」
ワンランク上のワード
確かに1時間は盛り上がり過ぎかもしれないが、一方だけが家事育児をする状況は男女が逆でもやはり引っかかる。不公平だと感じることはないのかと尋ねると、男性はこう答えた。
「結婚した頃は分担したいと思いましたが、妻は家事に全く興味がなく、私のほうが能力も適性も圧倒的に高かった。それなら最初から私が効率よく片付けたほうがいいと割り切りました」
以前は葛藤もあったが、今はそうでもない。時短家電をフル活用して献立表をエクセルで管理するなど、家事の効率化を日々追求している。
そもそも「イクメン」という言葉もどうなのか。育児をしない男性がまだまだ多かった十数年前、父親の育児を称えるこのワードが登場したことで男性たちの意識改革が進んだことは間違いない。だが今となればもはや、父親が育児するのは当たり前。ちょっとやったくらいで褒められる状況に違和感を抱く人は増えている。
「時代のフェーズが変わったので次の言葉が必要では」
そう話すのは『ほしいのは「つかれない家族」』などの著書があるコミックエッセイストのハラユキさんだ。