これによれば、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」は139.5万世帯で、5億円以上の「超富裕層」が9万世帯に上った。そして、両者の合計(148.5万世帯)はこの調査を開始した2005年以降で、最多を更新。これまで最も多かった2019年の132.7万世帯よりも15.8万世帯の増加となった。
資産家は全世帯の3%弱
厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、2021年6月3日時点における全国の世帯総数は5191.4万世帯。全体の約2.86%に当たる世帯が超高額マンションの買い手となっているわけである。
円安が進んだことで割安感が増しているだけに、海外からも盛んに資金が流入しているようだ。特に中国や台湾の資産家の間で、何戸もまとめ買いする動きが活発化しているという。
なお、「超富裕層」しか手の届かない数十億円や数百億円といった物件は、モデルルームや内覧会による公開販売は実施されていないという。日頃から付き合いのある銀行などの紹介を通じて、ごく一部の資産家だけに物件情報が耳打ちされる。分譲価格がその域まで達してしまうと、どれだけ信用力が高い人物であってもローンで調達するのはとても不可能だ。その点、「超富裕層」や投資家は難なく購入資金をキャッシュで用意できる。
「50億円、100億円といった水準までマンション価格が高騰しても、資産家や投資家は躊躇せず手を出せますし、彼らの購入意欲は依然として旺盛です」(長嶋さん)
資金を投じる価値があると彼らが判断し続ける限り、都心マンションの高騰は止まらないかもしれない。そうなれば富裕層に該当しない97%の世帯は、ますます、都心で住むことは難しくなる。