都心のマンション価格の高騰がとまらない。昨年の東京23区における新築分譲マンションの販売価格の平均は前年比4割増の1億1483万円に達した(不動産経済研究所調べ)。それでも販売は好調という。これほどの高額物件は誰が買っているのだろうか。AERA&AERA dot.の合同企画。AERAでは 2024年9月9日発売号(9月16日号)で特集します。
都内では共働きが一般的になっており、世帯年収が1千万円を超す世帯も増えている。そんなダブルインカムの世帯の多くがマイホームに選ぶのが、通勤が便利で、利便性の高い都心のマンションだ。
資材の高騰などに加え、新築マンションの供給数が限られている中で需要が増大したことから、販売価格は上昇。もはや「億ション」は当たり前になっている。そうなってくると、もう一般的な会社員家庭が容易に手を出せるものではない。
ましてや、最高価格が200億円とも言われる麻布台ヒルズはもちろんのこと、55億円のパークマンション檜町公園や45億円の三田ガーデンヒルズなどは論外だろう。
国内外の資産家が目を向ける
では、そんな超高額物件は誰が買っているのか? 不動産コンサルタントの長嶋修さんはこう答える。
「超高額物件を買い漁っているのは、国内外の資産家と投資家です。キャピタルゲイン(値上がり益)に期待している側面もあるでしょうが、もっぱら資産家の場合は資産保全の観点で都心のマンションに目を向けているようです。現金や保険、株式、債券、ゴールドなどに加えて、インフレに強いとされる不動産をポートフォリオに加えているわけです」
相続税の課税額を計算する際、額面通りの金額で査定される現金などとは違い、不動産は実勢よりもかなり割安な評価額になる。こうした点に着目し、節税対策でマンションを購入している資産家も少なくなさそうだ。
野村総合研究所は日本における資産家の世帯数と資産規模を推計する調査を定期的に実施している。最新の2021年の状況をみると、「純金融資産保有額(預貯金、株式、債券、投資信託、貯蓄性のある保険などの合計から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた金額)」の規模に応じて五つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計している。