21歳を迎える愛子さま(宮内庁提供)
21歳を迎える愛子さま(宮内庁提供)
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 成人を迎えた秋篠宮家の長男、悠仁さま。今春から社会人となった天皇、皇后両陛下の長女、愛子さま。子どもの成長を見守ってきた皇族方の子育ての「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2022年12月28日に掲載した記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 時代を映す鏡ともいわれる皇室。国民は親または子の立場から、自分の姿を重ね、心を寄せることも少なくない。天皇家と秋篠宮家の父親と娘のそれぞれの関係について、コラムニストの矢部万紀子さんが考察する。
 

 天皇陛下と長女の愛子さまが2日続けてお忍びでの外出をしたと報じられていた。最初が2022年12月3日、学習院大学史料館(「ある皇族の100年―三笠宮崇仁親王とその時代―」)、4日は五島美術館(特別展「西行―語り継がれる漂泊の歌詠み」)、それぞれを訪問、鑑賞したという。

 「お忍び」「外出」と聞いてオードリー・ヘプバーンの「ローマの休日」を思い出すのは世代ゆえかもしれないが、皇室における「お忍び」とは何を指すのだろう。という疑問に答えてくれたのが、朝日新聞の島康彦記者。10年にわたる皇室取材経験をもとに、朝日新聞デジタルの「コメントプラス」に書いていた(22年12月4日投稿)。

 それによると「お忍び」とは、宮内庁が事前に公表しない皇室の方々の活動のうち、外出を伴うもののこと。私的である、または取材機会を設定しないと宮内庁が判断したものだが、「そうしたものにこそ、皇室の方々を深く知るうえで重要な内容が含まれているのではないかと思い、担当記者は『お忍び』をキャッチすべく、各方面への取材を進めているわけです」とあった。

 なるほどそうだとすれば、今回のお忍びからはお二人の何を知ることができるだろう。まずは愛子さまの高い学習意欲だろう。学習院大学文学部日本語日本文学科に在学する愛子さまは、そもそも大変な勉強家だ。21年、20歳になったことを受けての記者会見での「関心のある分野は、いまだ模索中といったところではございますが、以前から興味を持っておりました、『源氏物語』などの平安時代の文学作品、物語作品を始め、古典文学には、引き続き関心を持っております」という言葉からも、それは明らかだ。

 西行は従来からの関心分野と言えそうだが、それに加え「ある皇族の100年」で昭和天皇の弟である三笠宮さまについても学んでいる。愛子さまは天皇家の長女である自覚を十分にもっているし、陛下もその役割に期待しているということだと思う。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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