新制大学の初代学習院院長を務めた安倍能成氏が掲げていたのが「正直であれ」という言葉だった。安倍能成氏は、哲学者・教育者で戦後、文部大臣を務め、退任後も教育制度改革などに尽力した。亡くなるまで学習院院長を務めあげ、今の学習院の基礎を築いた人物だ。
ここでいう“正直”とは、嘘をつかないということではなく、「逃げずに自分が考えたことをしっかりと打ち出すこと」だそうだ。
藤澤氏は、学習院の初等科から開成、筑駒といった進学校を受験したり、中等科から慶応などの私大の付属高校に進学したりして、学習院を離れていった生徒を多く見てきたが、学習院での「人間の本質を磨いて育てる」という教育方針は高く評価されているという。
「悠仁さまがそういう教育を受けていれば、今の段階で進路は明確に定まっており、進学先がいくつも上がって噂になるようなことにはなっていなかったのではないか、という思いがあります」
大学に皇族がいても驚かない
悠仁さまが、学習院大を進学先として選ぶ可能性はかなり少ないと思いつつも、
「学習院は悠仁さまにとって、よい環境なのではないか」
と、藤澤氏はやはり学習院をお勧めする。それはやはり、これまでに多くの皇族が過ごした「実績」があるためだ。
藤澤氏の在学中には、2学年上に秋篠宮さま(当時、礼宮さま)、1年上に紀子さま(当時、川嶋紀子さん)、2年下に紀宮さま(現在、黒田清子さん)が学習院に通われていた。
「キャンパスで秋篠宮さま、紀子さまを見かけても、驚くのは最初だけで、学生にとって風景の一部でした」
天皇陛下や上皇さまもふくめ、これまでの歴代の皇族の方々を見てきた学校としての経験は、ほかの大学にはないものだという。
新しい出会いと成長があり、人生のなかで貴重な時間を過ごすことになるであろう大学選び。皇位継承順位2位の悠仁さまがどんな「判断」をするか、注目される。
(AERA dot.編集部・太田裕子)