横川楓さん
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 7月の新紙幣についての記事でも触れましたが、キャッシュレス決済の普及が進んでいます。私自身、現金を使う機会はほとんどなくなっており、たまに現金が必要な場面で「あれ、お財布にいくらあったっけ……」と焦ることも。食事代を割り勘にするときでも、現金でやりとりする機会はほとんどありません。その流れは今後、さらに加速していくことになりそうです。

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 キャッシュレス決済が普及していくなか、昨年4月に給与を電子マネーで受け取ることができるようになりました。それから給与のデジタル払いについて1年以上動きがなかったのですが、8月9日、初めてその事業者の認可が下りたのです。
 

給与の電子マネー払い、『PayPay』認可 労使協定や同意書必要」(8月9日配信、朝日新聞デジタル)

給与を電子マネーで支払える資金移動業者として、ソフトバンク子会社のQR決済大手「PayPay(ペイペイ)」を認可したと発表した。昨年4月に給与のデジタル払いが解禁されて以降、事業者の認可は初めて。

給与のデジタル払いとは

 まず労働基準法では、お給料は現金払いが原則。ですが、労働者が同意した場合、銀行口座への振り込みが認められてきました。基本的には、多くの方が銀行口座へお給料を振り込んでもらっていると思います。

 キャッシュレス決済の普及に伴い、さまざまなニーズに対応するため、審査が通った事業者に限り、電子マネー等でお給料を支払うことが認められるようになったというのが給与のデジタル払い解禁です。
 

 給与のデジタル払いに参入するには、資金移動業者(キャッシュレス決済の運営会社等)は厚生労働大臣に申請をし、厚生労働省での審査・認可を受けます。

 給与のデジタル払いを導入する企業側は、労使協定を締結し、労働者にきちんと説明をしたうえで、労働者は同意書を提出し、希望する場合のみお給料をデジタル払いで受け取ることができます。

 現金化できないポイントや暗号資産での支払いは認められていないほか、労働者は全額デジタル払いで受け取るのではなく、一部をデジタル払い、一部を普通の銀行口座で受け取るなども可能です。
 

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電子マネーで給与支払いの仕組みは