
ダイバーシティー推進や女性活躍を進める企業は多いが、現実はまだまだ男性が中心で物事や仕事の采配を管理職の男性が決める職場も多いのでは。職場にはびこる男性中心のルールとは。AERA 2024年9月2日号より。
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オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)とは、男性ばかりの職場で、男性たちが無意識に築いてきた文化、暗黙のルールのことだ。
例えば、たばこ部屋や飲み会といった非公式の場で、人事や仕事の割り振りが決まる。たばこを吸わない人、時間外の飲み会に付き合えない人たちには不利になる。
「いやいや、飲み会だけで決まるほど、仕事は甘くないですよ」
釈然としない様子で話すのは、東京都の30代の会社員男性だ。だが、思い出したように言った。
「この前の飲み会で、男性の上司が『女性社員がいたら、こんなこと話せない』って言ってたんですよね」
いったいどんな話を?
「シモの話ですよ……。ここでは話せないですね」と言ってから、はっとした表情で続けた。
「上司は会社ではセクハラにおびえているけど、男性同士なら本音で話せると思ったのかもしれないですね。自分たちはこんなことで上司の信頼を得ていたとしたら恐ろしいことです」
そんな「OBN」が日常にあふれる組織は多い。企業のダイバーシティー推進に取り組むNPO法人「J-Win」は2019年、女性社員が日々感じている、モチベーションの低減となりうる「男性管理職が無意識に行っている職場での行動や考え方」についてアンケートを実施。回答から、女性たちから見たOBNの実態が浮かび上がる。
「男同士の雑談やコネ・人脈で物事が進むことが多い」
「上司が絶対。部下と議論を重ねた内容をひっくり返されても反論も意見もしない」
男性たちの成功体験
男性たちが、組織の意思決定層である男性上司の顔色をうかがっているというのだ。また、「男性は女性を守るべき。女性は家庭を優先すべき」という価値観が根強いこともわかった。