「きみの色」の登場人物たちは、そういった「心のやりとり」の手前にいる、もしかしたらはだかの子たちかもしれません。とても傷つきやすく悩みやすいというのは、どちらにも変わらずあると思います。考えすぎた結果、ゼロになってしまうみたいなことはたくさんあるんだろうなと思っています。
色も音も起源は光の波
──「きみの色」をはじめ、山田作品で度々重要なモチーフとして登場するのが音楽だ。
山田 色も音も、光の粒子の運動から生まれてくるものなので、互換性がある。起源が光の波なのであれば、平等だなとも思ったので、自然に結びつけられたテーマでした。
それに、音楽を純粋に好きなんです。言葉にすると…音楽には言葉がいらず、年齢も国籍もさまざまなことを越えられる。それは私自身の実感としてあります。
若い子たちへの応援歌
──作中で3人が組むスリーピースバンドは、トツ子がピアノ、きみがギター&ボーカル、ルイがオルガンとテルミンを担当する。少し変わった編成だ。
山田 「バンド」活動を描きたかったわけではなくて、型にはまらなくても、みんなが出せる音を持ち寄ったら音楽になる、ということを描きたかった。音楽を担当してくださった牛尾憲輔さんも、ものすごく深く理解してくださいました。
Mr.Childrenさんの主題歌(「in the pocket」)は、桜井和寿さんが作中の3人だけではなく、これから大人になっていく若い子たちに、優しくて力強い応援歌を書いてくださったんだなと感じています。
(構成 ライター 小松香里)