何ともパワフルな本だ。松田修は、芝居や遊郭といった「悪場所」に渦巻く庶民の欲望を通して、近世文化の躍動を捉えた異色の国文学者だった。こんな驚異の革命的クール・ジャパン論が、40年以上前に書かれていたことに、まず驚く。 江戸後期、窮屈な武家支配の管理システムからはみ出した人々のエネルギーは、しかし革命には結びつかなかった。江戸時代を終わらせたのは黒船来航という外圧であり、徳川幕府に対抗する薩長…

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