韓国でも「ブーム」となっている松田聖子(左)と中森明菜
この記事の写真をすべて見る

「東方神起」や「BIGBANG」、「KARA」「少女時代」などが人気を集めた2000年代以降、日本では相変わらずK-POPブームが続いている。その一方、韓国では日本で80年代から00年代に流行した歌謡曲やポップスなどの邦楽が注目を集めている。

【写真】松田聖子の曲をカバーした韓国ガールズグループのメンバーはこちら

 記憶に新しいところでは、今年6月に人気ガールズグループ「NewJeans」のメンバー・HANNIが東京ドーム公演で松田聖子のヒット曲『青い珊瑚礁』をカバーしたことだろう。日本でも話題となったが、同曲は韓国でも「Apple Music」や「Spotify」「Melon」など大手音楽ストリーミングサービスのランキングで上位に入っている。

『青い珊瑚礁』をカバーした「NewJeans」のHANNI(写真:アフロ)

 また、今年7月に都内でファンクラブ限定イベントを開催し、久々に“復活”のステージに立った中森明菜は韓国や中国でも広く知られた存在で、最近では若い世代の認知度も高まっているようだ。昨年9月、「BTS」のメンバーのVが自身のインスタライブのストーリーを更新し、移動中の車内から撮影したと思われる真っ赤な夕焼けの空を投稿。その際、明菜の「OH NO,OH YES!」をBGMとして流したことが話題となった。音楽誌のライターはこう語る。

「86年にリリースされた明菜さんのアルバム収録曲『OH NO,OH YES!』は、もともとメンバーのジョングクさんのお気に入りで、Vさんはジョングクさんから教えられて自身も気に入ったようです。そもそもは、『BTS』の生みの親である音楽プロデューサーで『HYBE』の創業者であるパン・シヒョクさんが明菜さんの大ファンであることから、その影響もあるのではないでしょうか」

中森明菜をBGMに使用した「BTS」のメンバーのV(写真:アフロ)

 これ以外にも、韓国では以前から若い世代の間で邦楽への関心が高まっているが、その背景には政治的な事情も関係しているという。日本の芸能事務所のスタッフはこう明かす。

「韓国では90年代から日本のドラマやアニメ、音楽、小説などに関心が高くなり始めました。他方、過去の歴史問題もあり、韓国では日本のテレビ番組を放送することを禁止するなど、日本のカルチャーの流入が制限されてきました。しかし1998年から2004年にかけて4度にわたる文化開放措置によって徐々に規制が緩和され、近年はほぼ開放されている状況です。実際、昨年3月に行われた日韓首脳会談の2次会ではユン・ソンニョル大統領が、韓国でも人気で自身も大ファンというドラマ『孤独のグルメ』の話題を口にしていました」

著者プロフィールを見る
立花茂

立花茂

東京都出身。大学を卒業後、スポーツ紙の芸能記者として活躍。その後、週刊誌や月刊誌、ニュースサイトなどでも記事を執筆。得意ジャンルは芸能だが、取材対象はアニメ、競馬、プロレスなど多岐に及ぶ。最近はweb3.0にも興味あり。

立花茂の記事一覧はこちら
次のページ
韓国で大人気のテレビ番組「韓日歌王戦」