二十四節気「春分」を迎えました。自然をたたえ生物をいつくしむ祝日「春分の日」でもありますが、いよいよ今年も春本番!お彼岸も中日となり、お墓参りに行かれる方もこの連休は多いことでしょう。各地から続々桜の便りも届き、心浮き立つ時節です。

本日は3月20日は「春分」。西方浄土と交わる日

「立春」から迎えた春も「春分」となり、いよいよ春本番!
太陽が真東から昇り、真西に沈む日を二十四節気では「春分」とし、天文学的には、太陽が黄経0度(春分点)を通過するときをいいます。昼と夜がほぼ同じ長さになることからも、一年の大きな節目とされています。
今日からだんだんと昼の時間が長くなり、気温も上昇。
暖かい陽差しに自然の生命が萌え、春の花たちが次々と開花する春分の頃。人々の心もじっとしていられないように浮き立ち、自然に笑顔がこぼれ、新しい希望に満ちてくるよう。
また、太陽が真西に沈む「春分」は、仏教では西の彼方にあるとされる「西方浄土」と交わる日。西方浄土にいる阿弥陀仏を拝礼するのにふさわしいとされ、「彼岸」の起源になったそうです。

雑節では「彼岸(ひがん)の中日」。「春分」の前後3日ずつの7日間は「春の彼岸」

「暑さ寒さも彼岸まで」とよく聞きますが、本日「春分」の前後3日ずつを合わせた計7日間が「春の彼岸」。各寺院では、「彼岸会(ひがんえ)」法要が行われます。
彼岸の初日を「彼岸の入り」、終日を「彼岸の明け」と呼び、春分の日が「中日」となります。(今年は、入り:3月17日、中日 :3月20日、明け:3月23日となります。秋は、春と同様「秋分の日」の前後3日間を合わせ秋の彼岸といいます)
この期間中各寺院では、「彼岸会(ひがんえ)」法要が行われ、各家庭でも、ご先祖様の供養にお墓参りに行く習慣がありますね。仏壇やお墓を清め水や花をお供えし、線香をあげて仏様の供養をすることで、極楽浄土へ行くことが出来るとも考えられています。
この線香のすっと胸に沁みるような香しい煙は、あの世(彼岸)とこの世(現世/此岸)をつなぐものなのだとか。ゆるゆると立ちのぼっては消えゆく煙は、目には見えない世界へと通じ、線香をたくことは、しばし仏様とお話することになるのだそうです。そう考えると、お墓参りの際も、できるだけ良い香りがするお線香で、想いを伝えたいものですね。

春の彼岸にお供えするは、「牡丹(ぼた)餅」。その謂われは…

日本独特の行事「彼岸」。のり巻きや稲荷寿司、お団子などを供えたりもしますが、代表的なお供え物はやっぱり「牡丹(ぼた)餅」ですね。(秋は、秋に咲く萩に「御萩」といいます)
この「牡丹(ぼた)餅」ですが、鎌倉にある「常栄寺」(通称“ぼたもち寺”)にその発祥の由来が残されています。
かの日蓮上人が鎌倉で処刑されそうになったとき、信仰篤い老婆が最後に何か食べさせたいと思い、もち米とうるち米を五分づきしたものに胡麻をまぶしたものを捧げたとか。その後、日蓮上人は佐渡に流されたものの処刑はまぬがれたことから、「御難(ごなん)餅」「難よけ餅」「首つなぎのぼた餅」とも呼ばれたそうです。
厄よけの意味合いももつ色「赤」い豆・小豆を煮た餡でくるむ彼岸の餅には、邪気払いの意味もあるようですね。

自然をたたえ生物をいつくしむ祝日「春分の日」でもある本日。連休の行楽の合間に、たとえお墓参りには行けなくとも、ぼた餅をお供えして、線香をたいてみてはいかがでしょう。
手を合わせれば想いは彼岸へ通じ、故人や先祖へ思いをはせることで、心も春の空のように晴れ晴れと。
日本の春の主役・桜が、もうまもなく満開となる時節がやってきます。