「コロナ11波」が到来中だ。他にも劇症型溶連菌、手足口病に加えて、咽頭結膜熱、通常は冬に流行するはずのインフルエンザまで感染者が増えている。AERA 2024年8月26日号より。
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2日間で「恐らくコロナ」の話題が3件。東京都に住む40代の女性は「コロナ11波」を肌身に感じている。
7月17日には会食相手から「コロナっぽい。予定を延期してほしい」との連絡があった。翌18日は同僚から「熱中症と思って受診したらコロナ陽性」というLINE。その夜に食事をした友人からは「先週、高熱で寝込んでた」。
友人は高熱と喉の痛みがあり、以前感染した時と症状が似ていたため「恐らくコロナ」と自己判断し、自宅にこもっていた。熱は数日間で下がったが「体力が戻らず、階段を数段上るだけで息が切れる」と話していた。女性はマスクを電車や会社の中で再びつけ始めた。
東京都あきる野市で開業する「米山医院」の米山公啓院長は、「7月に入った辺りからコロナが増えていると実感しています」と話す。もともと高齢者の患者が中心だが「急な体調不良で来院してきた場合、半数ほどは、検査でコロナ陽性。デイサービスやお子さん、お孫さんからの感染が疑われるケースも珍しくありません」(米山院長)
5類以降最大の流行
コロナ感染が広がっている。全国の定点医療機関当たりの新規感染者は7月末時点で12週連続で増加。現在は「第11波」とされ、昨夏の第9波を超えて5類感染症になって以降最大の流行になる可能性がある。さらに不気味なのが、コロナ以外の感染症の増加も見られることだ。
今、その急増ぶりが盛んに報じられているのが「劇症型溶連菌感染症」だ。国立感染症研究所によると、2014年から19年まで感染者数は毎年増加し、コロナ禍の20~22年は減少したものの、23年に再び急増。過去最多の941人を記録した。今年はすでにその数を上回り、7月14日時点で1217人に達している。
溶連菌は健康な人の喉や皮膚にいる非常にありふれた常在菌で、呼吸器または皮膚の傷口などに侵入して感染症を引き起こす。子供がいる家庭なら「溶連菌感染症=子供の病気」というイメージを持っているだろう。実際、溶連菌感染症は子供にとってはメジャーな病気で、一般的には喉に感染して咽頭炎を起こす。検査で溶連菌感染症と診断されれば抗菌薬が処方され、医師の指示通りに服用すれば速やかに軽快する。