前出の他球団の打撃コーチも、

「秋広の魅力はバットコントロールだと思います。体格に恵まれているので長打力が期待されるのは分かりますが、彼の本質は詰まりながらも左翼の前に落とす安打だと思います。良い時は線で捉えるスイング軌道で、詰まっても押し込んで逆方向にはじき返せる。今は長打を打とうという意識が強いのか、強引に引っ張ろうとして体の開きが速い。今の打ち方では捉えられるポイントが少なく、1軍では厳しいと思います」

 と分析する。

 プロの世界には、恵まれた体格でスラッガーとして将来を嘱望されながら、「安打製造機」として大成した選手が少なくない。前出の駒田氏や横浜で2年連続首位打者を獲得した鈴木尚典(現DeNA1軍打撃コーチ)はその代表的なケースと言える。ソフトバンクの柳田悠岐もフルスイングから衝撃のアーチを放つ印象が強いが、30本塁打を達成したシーズンは3度と意外に少ない。首位打者を2度獲得するなど通算打率.312と本質はアベレージヒッターだ。

 巨人は選手層が厚いわけではない。秋広が復調し、1軍に昇格してリーグ制覇に貢献できるか。ペナントレースは残り1カ月半。このまま終わるわけにはいかない。

(今川秀悟)