麻生氏が茂木敏充幹事長を推すのではないかとも報じられた。

「麻生さんが茂木さんを推すかは微妙です。それに現在、党の幹事長ですから。岸田政権そのものの存在。岸田さんが不出馬を表明した記者会見で『自民党が変わる姿、新生自民党を』と語って身を引いたのに、茂木さんが新総裁になるというのは、それにそぐわないことになる」(同)

 そのため、麻生氏が最終的にだれを選ぶかについては、

「誰を推せばいいのか悩んでいるけど、最終的には勝ち馬に乗るという判断になって、土壇場で進次郎さんにするかもしれない」(前出・永田町関係者)

進次郎不出馬なら大混戦

 前回の総裁選に出馬した高市早苗経済安保相も出馬に前向きのようだが、

「高市さんはまず、20人の推薦人集めに苦しんでいる。既に出馬を表明している青山(繁晴・参院議員)さんも同じく20人の推薦人を集められるかわからない状態。2人は安倍元首相の“直系”で、高市グループと青山グループは重なります。もし、青山さんが下りて高市さんを応援するならば推薦人は確保できるのではないでしょうか」(同)

“本命”の進次郎氏の話に戻るが、本人はいまのところ態度を表明していない。

「進次郎さんがまだ若いからということで不出馬の場合には、本命不在の大混戦です。誰が勝つのか本当にわかりません」(菅氏側近)

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう話す。

小泉進次郎氏が出馬する環境が、本当に整っているかは疑問。少なくとも、満を持してという感じではないでしょう。環境相しか大臣の経験がなく、党の4役をやったこともない。本来ならばもう少し研鑽を積んで、堂々と出馬したいはず。今回は自分が出たいというよりも、党内の政治の思惑に利用されている感があります。選挙の顔にもなるだろうけど、首相になった後で手腕が問われる。国民も今の熱量のまま支えてくれるかどうか」

 実は他の政党も代替わりの時期に直面しているという。

「立憲民主党は9月の代表選で誰が選ばれるか、全く見通せません。公明党の山口那津男代表は、代表を続投するかどうかはまだハッキリしない。共産党も今年1月、田村智子氏が新代表になったけれど、あまり表に出てきていない。与党も野党も、党の代表自体が受難の時代だということですよ」(角谷氏)

  進次郎氏の決断やいかに──。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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