五回は2死から5番・大洞、6番・木村、7番・山田の3連打で2点を追加する。
「打ってつなぐ野球を新チーム結成当初から目指してきました。そのための練習を1年間やってきたので、自信がありました。この試合で成果が花開いたんだと思います」
チームの精神的支柱であるエース・伊東は8安打されながらも3失点完投。四球0、死球2と制球が大きく乱れなかったことも勝因となった。
宿舎に帰ると監督から「ありがとう」と言われた。
「監督は卒業生でもあるんです。OBとして感謝するよって言ってくださって。感激しました。僕らの目標は甲子園出場ではなく甲子園1勝でした。月並みかもしれないけど、がんばれば夢はかなえられるって本当に思いました」
強豪を撃破して次戦の準備をしていたが、新型コロナウイルスの影響で2回戦を辞退。一度も負けることがないまま甲子園を去った。
「僕らの世代はコロナ禍で、練習ひとつまともにできず、いつも工夫が必要でした。多くを学び、成長させてくれた1年でした。あの試合は僕たちの野球にかける情熱の証しです。いつか自分に子どもができたら、この経験を話したいです。野球を含めて、当たり前のようにある日常生活のありがたみを伝えたいです」
古沢は現在、東京都内の大学に進学。準硬式野球部に所属し、汗を流している。
第103回1回戦 東北学院(宮城)vs.愛工大名電(愛知)
愛工大名電 000 100 110 3
東北学院 003 020 00X 5
(内山賢一)
※AERA増刊「甲子園2024」から