セカンドは“名手”として高校野球ファンの間で有名な町田友潤(常葉菊川・2008年)を推す声が多いと思われるが、2年、3年と連覇を達成したこともあって林を選んだ。特に2年夏には横浜高校のエース、涌井秀章(現・中日)からサイクルヒットを達成したのが印象深い。小柄だがパンチ力は抜群で、軽快な守備と積極的な走塁も見事だった。

 サードも我如古盛次(興南・2010年)と悩んだが、成績的にも上回る河合を選出。軸のぶれないスイングで広角にライナーを放つバッティングは職人的で、どこに投げても打ちそうな雰囲気は十分だった。決勝で日本文理の猛烈な追い上げにあいながらも逃げ切ったが、最後のサードライナーをキャッチしたのも河合だった。

 ショートも候補が多いが、優勝への貢献度も高かったことから杉崎を推したい。巧みなバットコントロールで5試合で12安打、ツーベース6本、スリーベース1本を放った。安定感のある守備も光った。東海大では怪我もあって苦しんだが、現在はJR東日本で強打のセカンドとして活躍している。

 外野手は池辺啓二(智弁和歌山・2000年)、原島正光(日大三・2001年)、千葉翔太(花巻東・2013年)の3人を選んだ。池辺は1学年下の武内晋一(元・ヤクルト)とともに強力打線の中心として活躍。投手が何点取られても打ち返してひっくり返す智弁和歌山の伝統を築いた1人と言える。卒業後も慶応大、JX-ENEOS(現・ENEOS)で中心選手として活躍。もう少し肩が強ければプロ入りも可能だったという声も多かった。

 原島も日大三の強力打線の4番としてチームを引っ張り、優勝に大きく貢献。ボールを呼び込んで近いポイントでとらえ、レフトにもホームランを放った打撃は強烈だった。ちなみにこの年の日大三は投手の近藤一樹(元・ヤクルトなど)と千葉英貴(元・横浜)、セカンドの都築克幸(元・中日)、センターの内田和也(元・ヤクルト)の4人がプロ入りしている。

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千葉の印象的な甲子園でのプレー