この森下さんの舞妓修業は、ふたを開けてみれば大好評で、『典奴どすえ』として書籍化、そしてテレビドラマ化もされる大ヒットデキゴトに昇華した。

 だが、時は流れ、斬新だった現代版今昔物語も、その役割を終えるときをむかえる。92年、惜しまれつつも連載終了した。しかし、この出来事学、当の穴吹氏が編集長に就任した後、<心機一転、新装開店、政界再編、復活する>と掲げ、93年に「デキゴトロジーRETURNS」として復活。その後、2014年に「デキゴトロジーレジェンド」、そしてコロナ禍真っ只中の20年には「1回だけ帰ってきた デキゴトロジー 特別編」。とにかくことあるごとにゾンビのように復活する(しかし原稿料はだいぶディスカウントされ、打ち合わせと称したアレコレなどはまるっとなくなったが)。

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 かくいう自分もRETURNS時代にライターとして参加して以来、のちに元締を担当することになったりするなど、「くされ縁」のように付き合い続けてきた。

 このゾンビ、いや、名物連載が、休刊迫る中、再び墓から甦らないはずがない。デキゴトロジー魂は死なず。有終の美を飾るべく、連載復活。恥ずかしながらってやつだ。

 とはいえ時代も変わった。「コンプラ」ってやつがいろいろある。かつて爆笑したネタも、今では絶対NGというものもたくさんある。しかし、そんな時代でも、ケチでゴマスリ、かつポンビキである人間の本質は2023年も決して変わることはなく、千年後に笑ってもらえるはず。森下さんも、

「発禁本になっても、それは勲章というものでしょう」

 と笑っていた。

 千年後の人たちに「令和の人間ってばかだなぁ」と笑ってもらえるデキゴトの数々、「週刊朝日」がそこにあった証しのひとつとして、最後の数週間、炎上上等、コンプラギリギリ、攻めの姿勢のデキゴトロジー、お届けします。(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2023年4月14日号

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